福沢克雄(山越)とVIVANT
福沢克雄原作・演出の日曜劇場VIVANT(ヴイヴァン)が面白い。報道面ではサヨク寄り偏向姿勢が際立つTBSだが、さすが「ドラマのTBS」が誇る伝統の旧「東芝日曜劇場」枠とあって力の入った超大作である。VIVANTはモンゴルで2カ月半ロケを行い、1回の放送に通常の倍の1億円の予算をかけたと云われるだけあって、毎週日曜の夜は映画を見るような気分でテレビの前に座っている。このドラマ、最初は思ったほど視聴率が取れなかったそうだが、息もつかさぬ展開と豪華なキャストで、茶の間でも徐々に評判になっているとのこと。VIVANTとは「別班」(べっぱん)が物語の舞台であるバルカ共和国の言葉風になまったもので、自衛隊内に編成された対テロ用の非合法秘密機関である。主人公の乃木(堺正人)は、総合商社・丸菱商事のしがないサラリーマンを装っているが、本当の姿は別班の工作員であることがドラマ進行とともに明かされる。別班が立ち向かうのが砂漠の国、バルカを拠点とする国際的テロ組織「テント」で、警視庁公安部の野崎(阿部寛)も時同じくして「テント」を壊滅すべく行動を繰り広げている。バルカに派遣され現地で医療を施していた女医の柚木(二階堂ふみ)や、少女ジャミーン(ナンディーン・エルデネ)が絡みつつ、往年の「スパイ大作戦」のように話は展開する。
VIVANTは全10話(らしい)のところ昨日8月20日で第6話が終了したが、ドラマ序盤でまぶされた伏線が回収され始め、話の輪郭が見えるようになってますます目が離せなくなってきた。私はこの手の展開が多くスピードの早いドラマに限らず、画面の人の顔が覚えられないばかりか、セリフの内容もすぐには頭に入らないので、一緒にTVを見ている妻に「これどういうこと?」と尋ね、「え、わからないの」とあきれられる事しばしである。そのため番組を録画しつつ、追っかけ再生でCMの時間に少し戻しては妻の解説に頷きながらの視聴である。丸菱商事ではぼんくらの乃木が、なぜ国際テロ組織があるバルカ国のプロジェクトに向き合う部署に配属され、ドラマの発端となる誤送金事件に巻き込まれたのか、たまたまにしては偶然過ぎる筋立てと思っていたが、昨日は私のような者にもその理由がわかるラストの場面。ストーリーは伏線を丁寧に回収し、因果関係も見る者を納得させる展開だといえよう。(因みに乃木の勤務する丸菱商事のロビーは、新しくなった大手町の丸紅本社ビルをロケ地にしている)
乃木や野崎が追うテントのボス、ノゴーンベキ(役所広司)の正体は、乃木が幼い頃に行方不明となった実の父親であることが分かり、ここへ来てドラマは親子の愛情相克の模様も見せるなか、乃木との距離を急に縮める女医の柚木は何者かが興味をひく。私は彼女やジャミーンが絡んだ大ドンデン返しがあると予想しているが、今後この2人がどう物語に関わってくるのか楽しみだ。また一癖ありそうな丸菱商事の上司たちもこのままで終わるのか、ドラム(富栄ドラム)は本当に言葉が話せないのかなども注目である。原作者であり演出の福沢克雄は半沢直樹シリーズでも名を馳せたが、旧姓は山越で福沢諭吉の玄孫であるばかりでなく、慶応蹴球部(ラグビー部)時代はロックの名選手であった。慶應は1985年のラグビー関東大学対抗戦グループでは4位ながら、続く大学選手権決勝で明治大学と引き分けて両校同点優勝。山越は抽選で進んだ日本選手権で社会人優勝のトヨタ自動車を破り10年ぶりに学生が王座を奪った折の選手で、私は当時のNHKテレビ中継のビデオテープを今でも大事に保管している。あの時ラグビーで我々をテレビの前に釘付にさせた彼が、今度はドラマで多くの人を興奮させていることがなんとも印象的である。
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