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2023年7月12日 (水)

SEA SPICA (シースピカ)号 せとうち島たびクルーズ

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SEA SPICA(シースピカ)号

しまなみ海道の大島にある民宿「千年松」で今治の船主さんを中心に、プライベートな集まりを毎年初夏に開いていたことは、2019年6月14日「『千年松』・瀬戸内海国立公園は日本一」でアップしたとおりである。あれから4年、武漢ウイルス騒動で中止になっていた宴会が今年はようやく開かれることになり、先の週末は広島空港からレンタカーを借り「千年松」に行って来た。来島海峡を前に久しぶりに海運界の後輩や若者たちと深夜まで談笑した翌日、せっかくここまで来たのですぐに帰京するには偲びない。よってレンタカーを返却したあとは、三原水道と安芸灘を運航する「シースピカ」号に乗船して、「瀬戸内島たびクルーズ」を楽しんでから帰京することにした。2020年秋から三原港と広島港の間で土日祝日に定期運航される「とびしま海道」観光用のクルーザーに乗船である。


「瀬戸内島たびクルーズ」の、午前中に出る広島発の東行き航海は、呉を経て下蒲刈島の三之瀬(新丸屋港)、大久野島、生口島の瀬戸田港経由で三原まで、午後の便は折り返し三原発西向き航海として、瀬戸田港、大久野島、大崎下島の御手洗港経由で呉、広島まで運航される。東航、西航とも途中の島々で適宜30分~70分ほど上陸して観光することができ、それぞれのクルーズは4時間半ほどの行程となっている。料金は乗船日によって異なるが片道6500円~7500円で、船内で食べる地元の特別弁当(1500円)を別途予約注文することもできる。「シースピカ」は地元の瀬戸内海汽船とJR西日本グループの共同プロジェクトとして建造され、総トン数90トン、速力23ノット、1階に売店・トイレにバリアフリー客席、2階に展望デッキを備えた旅客定員90名の新造船である。先日広島で行われたG7サミットでは、岸田首相や各国の首脳が、この船で広島から宮島まで乗船したことが報道されていた。


我々が「シースピカ」に乗船したのは広島発の東向き航路で、当日の乗客は約30名だった。広島を出ると船は江田島を右に見て南下、呉港では係留される多くの海上自衛艦を間近に、海上からの艦船見学も行われた。生憎の雨模様だったが、船内のマリンガイドは島々の文化や歴史だけでなく、潜水艦のあれこれまで解説してくれ、その詳しいアナウンスに耳を傾けつつ波に揺られるのが楽しい。会社員現役時代には瀬戸内の多くの船主さんたちとの商談で、この地を頻繁に訪れたが、こうして観光ガイドを聞いていると、改めて瀬戸内の歴史や地理について眼から鱗の発見が多々あるものだ。山本五十六がよく利用したという音戸瀬戸の料亭「戸田本館」を臨み、かつて絵本や教科書に頻繁に掲載された音戸大橋をくぐって東に航走すると、ほどなく安芸灘大橋をアンダーパスして下蒲刈島の新丸屋港に到着。


ここでは70分ほどの観光タイムを利用して下蒲刈島の三ノ瀬地区を散策できる。港近くには朝鮮通信使や参勤交代の大名が利用した本陣や旧家などが保存された町並みが広がり、江戸時代、この地区は朝鮮から京都や江戸へ向かう海上交通のメインルートであったことがよくわかる。これまで蒲刈島の船主群は内航船の船主として知られ、外航の大型船所有は、今治や伯方島の船主たちより遅れていたが、歴史的にみれば外航海運に関しても彼らは他地区に比べてなんら遜色のない歴史を有しているのであった。蒲刈島を後に、東邦亜鉛が所有して一般人が上陸できない「瀬戸内の軍艦島」契島(ちぎりじま)近くを航行したのち、大久野島では、野生のウサギにエサをやりながら旧陸軍毒ガス研究所の資料館を見学できる。最後の寄港地、生口島の瀬戸田港を経由して雨にけぶる三原港に入港、「瀬戸内島たびクルーズ」は終了した。「シースピカ」の西向きクルーズは蒲刈島ではなく北前船が利用した大崎下島の御手洗(みたらい)に寄るので、次回は天気の良い季節に復航に是非乗りたいものだと思いつつ、三原港のポンツーン桟橋に降り立った。このクルーズだが、もう一隻就航させ、三原を越して尾道水道から鞆の浦まで延航できれば、より魅力的な船旅になるのではないかと一人夢想している。

整備された下蒲刈島三ノ瀬地区の街並み (三ノ瀬御本陣芸術文化館)
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瀬戸内の軍艦島 契島(ちぎりじま)
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