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2023年4月 4日 (火)

「ツガル ツナガル」12系客車列車の旅

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牽引はJR東 秋田車両センターのDE10

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ほぼ原形の12系客車客室内

「海里」乗車の翌日は、秋田と弘前を往復する12系客車列車「ツガル ツナガル」号に乗車である。この列車はJR東日本系列の旅行会社「びゅう」が企画・募集した臨時団体専用列車で、地元とJRの観光キャンペーン「ツガル ツナガル」の開幕に合わせ、一日1往復で4月1日(土)・2日(日)の2日間だけ運転された。鉄道の楽しさの原点はといえば 私にとっては”ゴトゴトッ ゴトン ゴトゴトッ ゴトン”と飽くなく続くジョイントを切る車輪の音に身を委ねることだと云える。特に床下設備が少ない客車列車の台車から聞こえてくる、軽やかで規則的なジョイント音を聞いていると旅に出たという感動がひときわ強くなってくる。電車や気動車でなく客車列車の旅、それも奥羽本線のような幹線で「ツガル ツナガル」号が運転されることをメルマガで知り、秋田-弘前間の往復乗車ツアーに申し込んだのである。


東北地方での客車列車にはいろいろと思い出がある。若い頃、北海道へ行くには旧型客車による急行「八甲田」などに長時間乗るしかすべがなく、東京へ帰る上り夜行列車では床に新聞紙を敷いて眠ったものである。サラリーマンの現役時代は八戸出張の際に50系の客車列車によく乗った思い出もある。当時はまだ東北新幹線は盛岡が終点で、その先の八戸に行くには東北本線在来線の時代だった。何かの影響でダイヤが乱れ、新幹線に連絡する青森行き特急「はつかり」に乗れない時は、ED75に牽引された50系客車による普通列車で八戸に向かうほか手段がなかった。かつてD51三重連の貨物列車があえぎながら登った奥中山の峠の鉄路を、赤い電気機関車を先頭にする客車に乗って幾度か超えた記憶はいまも鮮明に残っている。東北の鉄道旅と云えば、私には「客車列車」なのである。


さて「ツガル ツナガル」の秋田-弘前間の行程はすべて電化されているため、ひそかに今回の列車はJR貨物の電気機関車が牽引するのではないかと期待していたが、秋田駅のホームに入ってきたのは、旅行パンフのイメージ写真通りDE10型ディーゼル機関車が前後についた列車であった。編成は弘前寄りからDE10 1759+スハフ12 162+オハ12 366+オハ12 367+オハ12 369+スハフ12 161+ DE10 1647で、機関車ほかすべてJR東日本の車両なのは、同社がこのキャンペーン主催者であることを考えればしょうがない。5両の客車を引っ張る程度なら力の強いDE10型機関車1台で十分だと思うのだが、前後に2台も機関車が組み込まれているのは、折り返しの弘前駅で機廻しの設備や要員に問題があるからなのか。列車はホイッスルを一笛、プッシュ・プル方式のディーゼル機関車のうなりと共に定刻に秋田駅を出発した。


「ツガル ツナガル」号は秋田駅を8時25分に出発、奥羽本線を北上して弘前までの148キロを3時間かけて走った。弘前で自由行動の後、復路は弘前15:13分発でやはり3時間で秋田に戻る行程である。連結された5両の客車には400名ほどが乗れるが、宣伝が不十分なのか、客車列車という対象が地味なのか、残念ながら乗車したのは100名もいなかったようである。ただその分、車内はゆったりで車窓からはようやく芽を吹かんとする東北の緑や、やっと蕾から咲き始めた桜を存分に眺めることが出来た。もっとも列車はこの週末だけの限定運転とあって、キャンペーン関係者の駅頭での送迎に加え、沿線はどこもカメラを手にした多くの撮り鉄であふれていたのが印象的だった。


乗車した12系客車はトイレや洗面所をリニューアルし、さすがに灰皿や栓抜きこそ撤去されていたものの、それ以外はほとんどかつてのままの状態が保たれていた。車内放送のオルゴールも寝台列車の定番「ハイケンスのセレナーデ」なのが懐かしい。この日の天気は快晴、奥羽本線は適度にロングレールと在来のレールが混ざり、期待通り客車独特の軽やかなジョイント音を存分に楽しんだ車中であった。途中、いくつかの駅で車外に出て手足を伸ばしつつ、八郎潟の干拓地や難所・矢立峠の景色を楽しんだ往復300キロ、6時間あまりの旅は、一言で言えば唱歌「汽車」の世界だったと云えよう。

♪  ♪                                  ♪ ♪
今は山中 今は浜 今は鉄橋渡るぞと 思う間も無くトンネルの闇を通って広野原(ひろのはら)
遠くに見える村の屋根 近くに見える町の軒(のき)森や林や田や畑 後へ後へと飛んで行く
廻り灯籠の画(え)の様に変わる景色のおもしろさ 見とれてそれと知らぬ間に早くも過ぎる幾十里

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「ツガル ツナガル」キャンペーンで弘前駅では津軽三味線の見送り

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八郎潟の彼方に沈む夕陽をバックに列車は快走

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コメント

バルクキャリアー様
「海里」「ツガルツナガル」の連続乗車とは鉄分たっぷり実に通好みの行程ですね。
奇遇にも4月1日~2日は新潟に家族でおりました。3月末の留萌本線ラストラン参加後に新発田に用事があり新千歳より空路入りしました。2日に帰京しましたが、息子は青春18きっぷで新発田→余目を「海里」乗車、余目→新庄を陸羽西線代行バス、新庄→秋田を奥羽本線普通列車、その後ANAの最終便で羽田へ。秋田空港ではバルクキャリアー様とニアミスだったのでは。

私ども夫婦は午後空路にて新千歳に向かったのち羽田へ。弘前上空では岩木山、弘前城、弘前駅が見えましたがバルクキャリアー様も丁度そのころ(午後3時過ぎ)青森にいらっしゃったということですかね、これまた奇遇ですね。羽田着は息子も私どもも午後9時過ぎでしたのでひょっとして羽田空港でもニアミスだったのでは。ご縁がありますね(笑)

ちなみに帰京の航空券はマイル使用でしたが、ユナイテッド航空のマイル使用なら直行便の無い新潟→羽田も大阪や札幌を経由して帰れるANA便が当日発券出来るので使い勝手が良いです。

M・Y様

ご子息は2日の「海里」に乗車、その後陸羽西線・奥羽本線経由 秋田空港19:50発の羽田行きANA便でしょうか。この経路は陸羽西線のバス連絡が目玉となるのでしょうか? 我々は秋田駅からのリムジンバスが19:20頃に秋田空港に到着、搭乗口(ANA/JAL共通)に19:40頃に入りANA便の1時間後のJAL便に搭乗しました。搭乗口近くでご子息とはごく近くで接近していたと思われます。また4月2日の15:00頃は確かに弘前駅におりました。その上空を通過されていたとはまさに奇遇です。UNITED/ANAの搭乗券なら日本国内でも秋田/千歳/羽田のようなROUTINGが出来るのは初めて知りました。最近は海外のエアラインに乗っていないので、かつてのマイレージはどうなったことやら?

コロナ騒ぎも終わり、漸く人の動きも活発になってきたようです。それでも「海里」「ツガル ツナガル」ともに席が埋まっていなかったのは残念に思いました。個人的には皆が自粛していた方が列車や観光地がガラガラで楽ですが、やはりこれからの観光シーズンは各地賑わって欲しいですね。

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