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2023年3月18日 (土)

SEABOURN ODYSSEY(シーボーン・オデッセイ)を商船三井が中古買船

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2011年5月 飛鳥Ⅱで訪れたリスボンでシーボーン・オデッセイの同型船シーボーン・ソジャーンと出会う


本年年初に日本クルーズ客船の”ぱしふぃっくびいなす”が引退し、我が国の日本籍クルーズ船は郵船クルーズ(日本郵船子会社)の”飛鳥Ⅱ”とMOPAS(商船三井子会社)の”にっぽん丸”の2隻のみとなってしまった。ドイツの造船所で完成する予定の郵船向け5万トンの新造船は2025年春の引き渡しだし、商船三井の3万5千トン級の新造船2隻はそのあとの2027年に出来るので、国内クルーズ船市場はしばらくはこの寂しい状況のままかと思っていたら、昨日ビッグニュースが飛び込んで来た。郵船の後塵を拝していた商船三井が2027年の2隻の新造船の他に、ラグジュアリークルーズの雄、シーボーンクルーズ(SEABOURN CRUISE LINE LTD.)社(SINGAPORE)より、2009年6月に竣工した"SEABOURN ODYSSEY"(3万2千トン・船客定員458名)を昨日付けで中古購入したのである。


なにせ2023年3月期の経常利益がなんと7,850億円というウハウハ状態の商船三井だから、この機を逃さず業容拡大を目指すとともに、今期中3月末までに節税対策として大きな買い物をする必要があったのだろう。一方で世界的な感染症の蔓延により海外のクルーズ船会社は青息吐息とあって、各社減船を実施中で、市場には売り物の中古クルーズ船が多かった。全客室が28平米以上でベランダ付(飛鳥Ⅱの人気のD・Eバルコニーは22.9平米)、2つのプールに6つのジャグジー、全室に日本人には必須のバスタブと独立したシャワーを備える"SEABOURN ODYSSEY"は当初の建造船価が2億5千万ドル(約300億円)と云われていたが、今なら相応の中古船価格で商船三井は手に入れることができたに違いない。さらに本船の長さ198.15米というのは、瀬戸内海の夜間航行制限である長さ200米以下という制限をクリアーしており、日本でクルーズ事業を展開するには大型船より使い勝手が良いと考えられる。


1999年に「ナビックスライン」と「大阪商船三井船舶」が合併し新生「商船三井」が発足した時、同社はトップの日本郵船を追い抜くと豪語していたが、その気概はどこへやら。海難事故のニュースこそ目立ったが、営業的には安全運航に徹して1位の郵船との売り上げは差が開く一方であった。そもそも同社の客船部門は1964年の海運集約※(下記注)以来、永年に亘って中南米航路の移民船を手掛けた大阪商船派と、合理主義の三井船舶派の社内確執に翻弄され、営業継続の危機が幾度もあったのが実情である。さすがに今の社長の代になれば、三井だの商船だのと旧来のくびきに惑わされることもなく、グループ全体の多角化、B to Cビジネス拡大戦略として、2027年の新造クルーズ船2隻を決めたものだと理解していた。と思っていたら、なんとラグジュアリー船の代表のような"SEABOURN ODYSSEY"まで購入したというから、これはいよいよ「郵船なにするものぞ」とクルーズ船部門でも商船三井は攻めの姿勢に入ったようだ。


"SEABOURN ODYSSEY"はイタリアの造船所の建造だが、商船三井の客船部門は、かつてユーゴの造船所で出来た客船を2代目の”にっぽん丸”として使用していたこともあり、外国製のクルーズ船の扱いにアレルギーが少ない伝統が残っているのかも知れない。 今後"SEABOURN ODYSSEY"はしばらくシーボーンクルーズにチャーターしてそのまま使われた後に、船名を変更し、必要な改装を施した上で2024年末からMOPASで日本を中心としたクルーズを開始するとの発表である。商船三井はフィリピンにマグサイサイという船舶管理やクルー供給の大きな会社を持っており、現在の”にっぽん丸”もそのサービスを利用している。本船もMOPASの運航となれば”にっぽん丸”と同等、もしくはそれ以上の顧客対応が期待できよう。今年の夏には新しい船名とクルーズの概要や価格が発表されると云うから楽しみである。また同社は世界最大のクルーズ船グループであるカーニバルから、アドバイザーを招聘することを併せ発表したので、外国人の乗船客も視野に入れているようだ。これまでハードの面では飛鳥Ⅱに劣っていた現”にっぽん丸”だったが、商船三井の積極的投資で、近い将来に郵・商のクルーズ船部門での本格的な競争が始まることが期待できそうだ。

 

※海運集約:高度成長する日本経済発展に寄与するために、海運会社の経営安定・船舶整備を目指し、当時乱立していた海運会社を日本郵船、大阪商船三井船舶、川崎汽船、ジャパンライン、山下新日本汽船、昭和海運の6つのグループに集約、政府系金融機関より利子補給した1964年の政策。その後、合併などで現在は3社体制になっている。


ソジャーンの舷門でクルーと話したところ「以前はクリスタル・ハーモニー(現・飛鳥Ⅱ)に乗っていた。良い船だね」と会話が弾んだ。
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