氷見ブリと「べるもんた」(2)
世界広しと云えども隋一の景色との富山湾 海越しに3千米級の急峻(立山連峰)が立ち上げるのかここだけとか
旅の2日目のハイライトは、JR西日本の”ベル・モンターニュ・エ・メール”乗車だ。”ベル・モンタ―ニュ・エ・メール”は原語フランス語では"Belles montagnes et mer"で、Bellesは美しい、montagnesは山々、etは英語のand、merは海の意味である。富山県の美しい山々や海を楽しむ観光列車ということで名前がつけられたが、列車の愛称にしては少々凝りすぎと思われ、通称「べるもんた」号と呼ばれている。2015年4月に東京から金沢まで北陸新幹線が延伸したことをうけ、同年10月から高岡駅または新幹線の新高岡駅を起点に、砺波平野を南下する城端線(じょうはな線)と、富山湾に向かい北上する氷見線で「べるもんた」の週末限定の運転が開始され、以来人気の観光列車になっている。
新幹線開業により、富山県内の在来の北陸本線は第三セクターの「あいの風とやま鉄道」となったため、北陸本線高岡駅を起点としていたJRの氷見線と城端線は、在来のJR線との接続点がない離れ小島の孤立路線となり、従来より一層厳しい経営状態に直面することになった。もっとも沿線は砺波平野のチューリップ、瑞泉寺や五箇山、雄大な立山連峰遠望や富山湾の絶景などの観光資源が盛りだくさん。そこで新幹線の延伸と相まってこれを増収に活かさない手はないと、「 べるもんた」の運転が始められたそうだ。キハ40を改造しダークグリーンに塗られた観光列車(単行一両編成)は土曜日が高岡駅から新高岡駅経由で城端線(高岡駅~城端駅29.9キロ)を、日曜日は氷見線(高岡駅~氷見駅16.5キロ)+高岡駅/新高岡駅(城端線1.8キロ)(合計18.3キロ)間で各々1日に2往復運転されている。尚、この列車に乗るには、通常の乗車券以外に城端線運行でも氷見線運行でも指定料金530円が必要である。
我々は昨年7月に同列車の城端線部分に乗ったが(瑞泉寺・五箇山合掌造り・”ベル・モンタ―ニュ・エ・メール”)、今回は寒ブリ喰いたさに富山に来たところ、幸運にも日曜日の午前中に氷見駅から新高岡駅間を運転する「べるもんた2号」のチケットをとることができた。昨年城端駅から乗車した際は、暑さのため車内で出されるご当地クラフトビールがまさかの売り切れという、我々によっては大きな災難に見舞われたので、今回はリベンジの意味もあり、乗車前は氷見市内をゆっくりとジョギングで観光し、十分汗も出してビールを楽しみに乗車に備えることにした。
再度乗車することになった「べるもんた」号だが、車両はこの地方の景色を楽しむために、大きな窓は額縁調にデザインされており、吊り革は高岡の銅器をイメージ、座席の仕切り版は井波彫刻の作品と、沿線の伝統工芸品が前面に押し出された意匠である。列車は一両編成なので車内に厨房スペースこそないが、氷見寄りの車端には寿司やつまみを準備する寿司カウンターが設けられており、「白エビと紅ズワイ蟹のお造り」を肴に、前に飲みそこなった「はかまビール」「麦やビール」と銘打たれた城端の特産ペールエールを楽しむ。「海越しに3000米級の山々を見られるのは世界でもここだけ」とガイドの説明を聞き立山連峰の車窓風景を楽しむうち、列車はあっという間に高岡へ到着。高岡駅では、氷見線の7番ホームから新高岡駅に向かう城端線の2番ホームまで14か所のポイントを通過して進行方向を変える小さなアトラクションも楽しめるが、それにしても乗車時間が短いのがちょっと残念である(氷見駅~高岡駅なら31分、氷見駅~新高岡駅は1時間5分)。せっかくの観光列車なのだから、氷見から城端線の城端駅までを乗り通す便があっても良さそうなものだというのが2回乗車した感想である。
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