「津軽鉄道・ストーブ列車」と津軽海峡を望む天然温泉「ホテル竜飛」その1
元旦を挟んで大晦日から1月2日までの2泊3日で、JR東日本の団体旅行びゅうによる「冬の風物詩『津軽鉄道・ストーブ列車』と津軽海峡を望む天然温泉『ホテル竜飛』」に参加して来た。妻とその母、妻の妹と大学生の娘(姪)の老若女性4人と爺さん1人の5人組である。男兄弟で育ち高校は男子校、大学はクラスも部活も男だけ、就職先も男性主体の産業と若い頃は男性中心の社会で生きてきたが、歳をとればとる程どうやら女性の渦の中に巻き込まれて生きることになりそうだ。人生わからないものだ。さて人に話せばこの寒いのに何を好き好んで正月休みをそんな本州の北端で過ごすのかと笑われそうだが、このツアーは同じ宿に連泊し雪を見ながらゆっくりと温泉に浸かり、元日は初詣も出来る上に変わった鉄道に乗れるという旅程になっている。こんな企画旅行にのらなければ竜飛崎などは2度と行けない場所なので、この際思い切って訪問するのも良かろうと皆で参加することにした。
とは云え強風で名高い竜飛岬である。石川さゆりも「津軽海峡冬景色」で「ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと見知らぬ人が指をさす (中略)さよならあなた私は帰ります、風の音が胸をゆする泣けとばかりに」と歌っている。ましてや青森県津軽地方の正月の天気予報は、強い寒気の襲来で吹雪になると告げる。厚手のコートにスキー用の帽子と手袋を着用し、凍った道でも滑らないように靴に装着するスパイク付滑り止めを持ち、妻は2016年に飛鳥Ⅱで行った南極クルーズで支給された防寒パルカを着こんだ完全防備で出発することにした。東京から東北新幹線”はやぶさ”に乗って3時間半、到着した最寄の奥津軽いまべつ駅は、あたり一面真っ白な雪に覆われたローカルな景色の中にポツンと佇んでいた。ここから貸し切りバスに1時間ほど揺られて着いた竜飛岬は、にび色にうねる津軽海峡をはさんで北海道の渡島半島の山々を望む半島の突端に位置していた。因みに正式にはこの地の名前は「竜飛」でも「龍飛」でもどちらでも良いそうで、観光用には画数の多い「龍飛」を使うそうだ。
やや高台に位置する岬には我々が宿泊するホテルの他には灯台と「津軽海峡冬景色」の歌碑があるだけで、この時期は我々のような団体客以外の観光客はまれにしか訪れない寂しい場所であった。歌にあるように竜飛といえば風の名所だと観光バスの地元ガイドさんも言っていたが、この日は立っているのも困難なほどの突風が時々吹き抜け、まさに地の果てという情景がひろがる。ただ歌碑の前にある赤いボタンを押すと「♯ごらんあれが竜飛岬♭」と石川さゆりの歌が大音量で聞こえる仕組みになっていて、夏場にはここが観光名所であることを示していた。その岬近くにただ一軒建っている宿が2晩泊まる「ホテル竜飛」であった。津軽半島の先端部には他に適当な宿泊施設がないのか、大晦日から元旦にかけては我々JR東日本びゅうのほかに、JTBとクラブツーリズムの大手御三家のツアーが揃い踏みになってホテルの中だけは大賑わい。宿は人出が足りない様子で、働いている外国人男性はネパールから来たとのこと。突風をついて歌碑や灯台を散策し冷え切った体には、竜飛温泉の塩泉がとても気持ち良かった。こうして吹き荒れる風の音を窓外に聞き、津軽海峡の荒海を眼下にしながら大晦日は暮れていった。
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