日本経済に好機到来
最近はテレビをほとんど見なくなったが、新聞のテレビ欄を見ると「止まらぬ円安どこまで重い家計負担に政府は」(テレビ朝日 Jチャンネル)と最近の物価上昇についてワイドショーなどでは危機感を煽っているようだ。ちょっと待って欲しい。長期低迷する我が国の経済を上向かせるのは、長らく続いたデフレスパイラルから脱却し、まずは3%程度のインフレにすることが必要、とすこし前まで(いわゆる)識者やメディアは総がかりで叫んでいたのではなかったのか。ここにきてウクライナ戦乱による資源の高騰に加え日米の金利差によって生じた円安により、日本でもやっと消費者物価指数(CPI)が3%上昇したことが発表されると、今度は「これは悪い円安」やら「悪い価格上昇だ」と彼らは言い出した。
最近は、企業などサービス供給側も原料価格の高騰を製品に転嫁することについて抵抗感が少なくなったそうで、これまで続いてきたデフレマインドがやっと払拭されるようになったことは大変喜ばしいことではないのか。あとは企業に延々と積み重なった500兆円に昇る内部留保を、いかにして従業員の給与アップや新規投資の資金として循環させるかに心を砕くのが喫緊の政策課題になるはずだ。だとすれば従業員の給与や待遇改善のみならず、関連企業や下請け企業に対していま厚く処した企業には、税の優遇措置などを講じて、社会全体にカネが行き渡る政策を立案、実施することが求められているのではないか。
円の為替相場が一時152円に迫り、これは32年ぶりだと大騒ぎだが、その32年前の1990年の各種指標をみれば、「実質経済成長率4.9%、失業率2.1%、インフレ率3.1%とまったく文句のつけようのない立派な経済」と高橋洋一・元内閣官房参与は言う。円安は輸出企業を潤すが、概して輸出企業はエクセレント・カンパニーが多いから、税収やGDPのアップにも直ちに寄与するため円安はむしろ好ましいと彼は主張する。顧みればバブル経済に入ろうとする1980年から1985年にかけて為替は220円から250円で推移し、1990年時点でも145円で、現在の150円というのは歴史的にはごく普通の水準である。いまの金融緩和策や日本の状況を考えれば、この程度の物価上昇や円安で何を大騒ぎしているのかと不思議でならない。一方で生活必需品以外の価格、例えば車の価格は大幅に上がったし、コンサートやスポーツイベントなどの催し物はじめ様々なサービスや工事の値段などはすでに大きく上昇している。漸く待望のインフレ基調にシフトを開始した日本経済と、ラッキーにも機を一にした円安の局面である。目先の日用品や食料品の値上げを否定的に報道するばかりでなく、シナからの経済的離脱が容易になるなど日本には好機が訪れたと捉える報道がもっとあっても良いのではないか。
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