クラツー利尻島・礼文島の旅(その3)
礼文島における最後のイベント、桃岩トレッキングも終わり、高山植物を見ながら歩いた皆がバスに戻ってきたが、利尻島へ亘るフェリーの出発までにはまだ十分な時間があった。ハートランドフェリーは、本来この季節は3隻の船舶によって稚内‐礼文‐利尻の航路をサービスしているところが、コロナ禍で従業員の都合がつかなくなり、急に8月19日からは2隻体制の冬ダイヤになってしまった。そのために礼文から利尻に渡る出発便が当初クラツーが予定したものより大幅に後ろにずれたため、礼文島における滞在時間が増え、その分は逆に利尻島のスケジュールが忙しくなったのである。なにしろこの旅は、前後を一日片道2便しかない東京-稚内直行のフライト時間に制約されている中で、現地に滞在する実質2日間のうちに3回フェリーに乗り、2つの島と稚内近辺を観光するというテンコ盛りスケジュールだから時間の管理が大変である。
といっても島内には交通渋滞がないし、礼文島には交通信号機が2か所だけとのことで、バスは列車の時刻表の如く予定通りに走る。添乗員の集合時間案内や点呼も極めて丁寧だし、ツアー参加者も真面目に決められた時間通りにバスに戻って来るのはさすが日本の中高年ツアーである。こうして礼文島では時間が余ったのだが、その時間を利用して、2012年に「北のカナリアたち」という映画のロケに使われ、利尻島が前面に展開する公園に連れて行ってもらった。この公園では廃校の床材などを使って造られたロケ用の 「麗端小学校岬分校」の校舎を見て、これから渡る利尻島の景色を楽しんだ。海峡越しに利尻島全山がくっきり見えるのはこの季節にしては珍しいそうだ。桃岩トレッキングではもっと沢山歩きたいと思ったが、逆に自分で回れば立ち寄らないこうしたちょっとした名所に、ガイド付で訪れることが出来るのが団体旅行の窮屈な点でもあり良い点でもある。
礼文の香深港からフェリーで40分、利尻の北部に位置する鴛泊港に着いた時間はもう午後5時10分であった。利尻島は人口が4200名で、丸い火山のこの島を一周すると63キロだが、この日の残された時間で島の南部のある利尻山眺望のオタトマリ沼と、夕陽の景色が素晴らしい仙法志公園を廻らなければ、翌日のスケジュールに響くから大変だ。当日の日没は6時18分なので暗くなる前に2か所の名所を探訪するため、フェリー下船とバス乗車は手早くと案内され、飛び乗ったバスも心なしか速度を上げて目的地に向かった。利尻山は島内をぐるりと一周する間に16回姿を変えるという。北海道の銘菓「白い恋人」のパッケージ通りに山が見えるのはここだ!という名所オタトマリ沼を経て、仙法志公園では雲間から残照を眺め、島を一周し鴛泊の「ホテルあや瀬」に入ったのは辺りも暗くなった夕方7時であった。風呂に入る間もなく食事が出されて濃密な一日が終わった。(その3終わり)
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