クラツー利尻島・礼文島の旅(その4)
稚内港 北の防波堤ドーム 樺太航路の連絡船乗客を風雪風波から守るために作られた
利尻島最終日は1周800米の姫沼に沿った森の中の木道トレイルを巡り、朝9時過ぎのフェリーで稚内に戻った。このツアーは歩く箇所が多く、スマホの歩数計アプリは3日間とも1万4千歩を記録していた。稚内ではお約束の「北の防波堤ドーム」に立ち寄り、副港市場で昼食を摂った後、旅の最後に本邦最北端の宗谷岬を訪れるスケジュールであった。アシカやトドの集う海岸線に沿って国道238号線を宗谷岬に向かうと、バスの車窓からは40数キロ離れた樺太が遠望できる。宗谷海峡を挟んではっきり目視できる南樺太だったが、もし戦争に負けなかったらここも日本領で、フェリーで簡単に渡れるはずだと思うと残念でならない。ウクライナとの戦争でロシアが大いに疲弊し、北方領土や南樺太を日本に譲りたいという事にならないか、急に夢のような考えが頭をよぎった。
宗谷岬を後に、稚内空港からANAの羽田行きで帰路についたが、「利尻島・礼文島さいはての夏スペシャル 3日間」の旅を思いつくまま纏めてみた。
①初の利尻島と礼文島だったが、両島は双子のように位置するもその地勢はまったく違うことが印象的だった。礼文島はなだらかな地形で笹や草花などに覆われている。夏場は霧が多く冷涼なため、高山植物が海岸近くから茂り、その間を縫うトレイルは穏やかなコースである。礼文島は女性的な地勢の島だと云える。対して利尻島は海岸から一気に利尻富士がそびえたち、植生は高度に応じて変化している。標高1721米の利尻富士まで海岸から一挙に登るので、登山するにはそれなりの体力が必要であり、こちらな男性的な性格の島だと云えよう。
②2泊3日のクラブツーリズム主催の旅は、一人当たりの参加費用が79000円であった。もしこの日程を個人で行けばどうなるか。稚内往復のANA便は早割で往復5万円、3回利用したフェリーは運賃が6870円である。今回利用したのと同レベルの宿をネット検索すると、一人一泊でどうやら最安値が一泊1万5千円~2万円/一人ほど。レンタカーは3か所(稚内・礼文・利尻)で借りる必要があるためガソリン代込みで2万円(一人1万円)程度になろう。ほか昼食代などどんなに安く見積もっても個人手配なら一人10万円は軽くかかる計算になる。土地勘がないと2泊3日ではこれほど効率的に回れないこと、その上バスガイドや添乗員の詳しい説明を考えれば、大変「お得なツアー」だったと評価できる。
③一方で、我々の様にトレッキングをもっと楽しみたくとも、団体行動のために自由は制限される。また宿での夕食も感染対策のアクリル板越し、かつ指定席の為に他の参加者と交流ができない。皆周囲にバリアーを張っているわけではなかろうが、バスの車内も3日間指定された同じ席で、会話を控えめにせよということで、他の参加者との交流がしづらい雰囲気であった。旅行社主催の団体旅行に参加するといつも思うが「袖すり合うも他生の縁」なのだから、(今はコロナ対策で難しいだろうが)シャイな中高年向けに、この点で工夫はできないものか。
かねてより訪ねたかった2島と半世紀ぶりの稚内である。いささかハードスケジュールではあったが天候に恵まれて効率よく巡ることができた「良い旅」であった。(了)
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