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2022年8月11日 (木)

木次線と中井精也氏の鉄道写真

20220811

鉄道模型を再開してから、最近はデパートで開催される鉄道関連のイベントなどにも興味が湧くようになってきた。ということで先週末は新宿の京王デパートで開かれている鉄道フェスティバルに行ってみた。卒業生が鉄道各社に多数就職する岩倉高校の生徒が作成したHOゲージやNゲージ鉄道レイアウトを眺め、鉄道グッズを販売する各社コーナーなどを見ているうち、会場の一画に鉄道写真家 中井精也氏のギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊 NOMAD」があるのを発見。中井精也氏と云えばJR時刻表の表紙や鉄道各社のカレンダーを担当するなど知る人ぞ知る鉄道写真家である。我が家のリフォーム工事が昨年完了し、きれいになったリビングルームの白い壁を飾る風景画か写真、できれば鉄道に絡んだものが欲しいと思っていたので、有名な鉄道写真家の販売する作品に手頃なものがないか、冷やかしで覗いてみることにした。


その「ゆる鉄画廊」の一画に 青空を背景にみどりに包まれた線路を走る気動車のちょっと変わった色調と構図の写真が展示されていた。全体はとても明るい作品なのだが、画面の空や森、その中を走る朱色の気動車が漫画のような不思議なタッチで表現されている。写真の説明にはJR西日本の木次(きすき)線の風景とあるのに一層心惹かれて見入っているうち、この写真が何となく「買ってちょうだいよ」と呼びかけているような気がしてきた。詰めていた係りの人に聞くと、これは鉄道の風景を直接撮影したものでなく、線路脇を流れる川の水面に映った景色と列車を撮ったのだそうだ。確かにこの写真をよく見ると鉄橋を亘る気動車の輪郭はやや曖昧だし、写真の全面に亘ってうっすらと川底の石ころなどが写っており、川面に反射する光線の具合いがこの作品を劇画チックに仕立てていることが分かった。天地を逆にした様なユニークな作品である。

 

作品が呼んでいるかに思ったのは、JR木次線が題材になっているからであろう。私の母方の祖父は島根県の素封家の家に生まれ、木次線の前身である簸上(ひかみ)鉄道創設の主要発起人の一人として、若き日は鉄道敷設に力を注いだと聞いている。簸上鉄道は山陽・山陰連絡の便を図るために1916年(大正5年)に開通し祖父は取締役も務めていたそうだが、戦争を前に1934年(昭和9年)に国有化されて木次線となっている。木次線は現在は宍道(島根県)と備後落合(広島県)を結ぶ全長82キロの非電化・単線のJR西日本のローカル線である。祖父は後に政界に出て国会議員に選出されるのだが、当時の政治家によく見られた井戸塀政治家の典型で、様々な事業や政治活動、選挙に私財をつぎ込み、亡くなった時には文字通り井戸と塀しか残らなかった。きっと簸上鉄道建設にも資金を注いだに違いないが、祖父の若き日の情熱がJRの路線として今も残り、その線を題材にした作品に図らずもここで出会ったのである。ちょっと気になった写真が木次線だと聞き、これも何かの縁に違いないと思い早速購入し、白い額に縁どられた作品を手にいそいそと帰宅した。


所用から戻ってきた作者の中井精也氏にサインを貰った
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