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2022年6月10日 (金)

続・陸と海と空 にっぽん丸の「門司発着 海の京都 舞鶴と佐渡島プレミアムクルーズ」その5(寄港地編 佐渡)

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宿根木の集落は吉永小百合の大人の休日倶楽部CMでも使われた

クルーズ3日目、にっぽん丸は佐渡の小木港に入港した。佐渡と云えば史跡である金鉱山がユネスコ世界遺産に登録される可能性が濃厚で、いま脚光を浴びている島だ。島の南部に位置する小木港は直江津連絡の高速船が着くものの、大型船の係留はできない小ぢんまりした港であった。しかし小木港は江戸時代は西回りの北前船の主要な寄港地であり、すぐ近くの宿根木集落は当時は廻船業の船主で栄えた町だった。そんな小木港に寄港できるのは小粒なにっぽん丸サイズのメリットだといえよう。佐渡島は沖縄本島につぐ大きさで、Sの字にも似た形の島には南と北に二つの山地があり、その間に両津平野が広がっている。島の北部は日本海的気候で冬の積雪も多いが、南部は比較的穏やかで、両津平野は良質なコシヒカリの産地だそうだ。「離島」というと何等かの目的がないとなかなか訪れないが、クルーズ船は国内の様々な島に気軽に連れて行ってくれるのが嬉しい。


小木では「北前船で栄えた町宿根木散策」の有料ツアーに参加することにした。船から観光バスに揺られて10分ほど、海を挟んで対岸の妙高山地を前にした宿根木は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。地元ガイドさんに案内されて踏み入れた集落は、入り組んだ狭い路地の両側に肩を寄せ合うように住居が並んでおり、それぞれの家を見れば廻船の外板を流用した腰板が目立ち、屋根は真っ黒な能登の瓦吹きである。ここは江戸時代は船大工が住み金融が整備されて船主が多数いたそうで、そこかしこの家並が往時の繁栄を偲ばせてくれる。これまでも瀬戸内に点在する各地の伝統的な船主の町を訪れたが、ここ佐渡も西回り北前船の主要な寄港地であったから、同じような海運業が発達したのであろう。集落の入り口にある佐渡国小木民族博物館には往時の設計図を使い新造された千石船「白山丸」が展示されており、これをゆっくりと見学するうちに江戸時代の廻船業や船主業をじっくり研究したいとの気持ちが湧いてきた。完全にリタイアしたら生涯のテーマとして江戸時代の海運業をじっくり研究するのもよいかもしれない。


集落の見学が終わると、目の前の海岸でこのツアーについているたらい舟の乗船であった。船頭さんは昔絵本で見たような編み笠に絣(かすり)の女性でなく運送会社のドライバーのような男性だ。ライフジャケットを着用して生まれて初めてのたらい舟に乗ると予想通りゆらゆらと揺れて何とも不安定な乗り心地。たらい舟は形は丸いし櫓の支点も柔道の帯のようで、櫓で漕ぐ力を推進力にするには何ともファジーな形態と云える。時速は最高でも3キロだそうでなぜこんな乗り物が佐渡で使われたのか不思議なのだが、箱メガネを使いながら岩場で海草や貝を採取するにはたらい舟が良いそうで観光以外に今でも現役で漁に使われている。ところが好事魔多し。こうして妻と共に海岸を一周するたらい舟体験を終え「右足をその座る所にかけて左足で岸壁に」と言われて彼女が上陸しようとする瞬間であった。私の目の前で妻のジーンズのポケットからはスローモーションのように何かが海にすべり落ちるのが見えた。思わず「スマホ!?」と呟くと陸にいたにっぽん丸の付き添いガイドが「ご主人のは撮影用に先ほどお預かりしたのでここにありますよ!」「あっっっ、私のが落ちたんだ!(心の声:ヒィィィ)」と妻。

ここからは妻の日記から引用。
(完全に水没してしまったので)もう(スマホとして蘇生させるのは)無理だな、と思ったけどその箱眼鏡で見えませんか、と船頭のおじさんに頼んでみる。「どんな形状?」「本体は水色でオレンジの短いストラップの先に銀色のカラビナが付いてます」と言ったらそれらしいものが見えたみたい。アワビ漁に使う鉤(かぎ)にストラップを引っ掛けて掬ってくれようとするけどなかなかうまくいかない。そろそろバスの出発時間なので、もし掬えたら小木のにっぽん丸に届けます、とおじさんが言ってくれたので夫の携帯番号を書き残す。後でわざわざ届けてもらうのはあまりに申し訳ないなと思っていたら、おじさんはタモ(網)が要るなと呟きながらも、海の底を狙いすまして何度も鉤でチャレンジしている。海中を漁ること数分、やがて気合とともに鉤に引っ掛けたスマホをタモに受け、なんとか無事サルベージしてくれた。早く清水で洗った方が良いとのアドバイスを得て近くのトイレで充電口を中心に洗った。ご迷惑をおかけして申し訳なかった。特ににっぽん丸のガイドさんが一緒にショックを受けてくれて申し訳ない。でもとりあえず現物が戻って良かった。平身低頭引き揚げる。


海中滞在時間約10分のスマホは、サルベージ直後は不調だったものの、翌日は機能を完全に取り戻した。それにしても箱眼鏡で拾い上げてくれた船頭さんの技は卓越している。この災難から不安定だと思ったたらい舟は、海中の漁にとても適していることが体験的・実証的によくわかった。関係者の皆さん、お騒がせして大変すみませんでした。

スマホを回収してくれるたらい舟の船頭さん(迷惑をかけておきながらでデジカメを出して妻が写真を撮る)
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コメント

サルベージされたスマホを再び手にした時、何かの通知で震えて画面が点灯したのを見て「え?生きてる」。にっぽん丸に戻って恐る恐る(佐渡圏内で)通話してみると、繋がるのに相手の声が聞こえない。やはりこれまでか、でも海水に露出していた充電部分はしばらく刺激を与えない方が良かろうと、まる一日充電せずガマン。翌日隠岐圏内でアンテナ立ったので改めて通話してみたら...、相手の声聞こえるし!機能ほぼ復活!!!。ほぼ、と思ったのは電子マネー部分が不安だったから。でも福岡の地下鉄で使えたので感涙。本当にお騒がせしますた。

ちなみに本機の防水性能「IPX8とは、常温で水道水の水深1.5mのところに携帯電話を沈め、約30分間放置後に取り出したときに通信機器としての機能を有することを意味します」だそうでした。恐れ入りました。

でも水道水ではなく海没(塩水)だったので、ある日突然死してしまうかも、とちょっと不安です。

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