渋谷 エクセルホテル東急 トレインシミュレータールーム
先日は渋谷エクセルホテル東急「トレインシミュレータールーム」に一泊した。妻と二人で一泊朝食付きで合計26,800円である。いまウイルス禍で内外の観光客が激減しているなか、鉄道シミュレーターを設置しオタクを呼び込もうとしている鉄道系ホテルが幾つかある。JR東日本系のホテルメトロポリタンは池袋、丸の内、川崎、さいたま新都心で「JR東日本の運転士が訓練で使用する映像・機器」を再現し、京浜東北線と八高線の運転席を楽しめる部屋を展開している。同じメトロポリタンホテルのエドモント(飯田橋)にはロビーに東北新幹線のE5系の「実機器を採用!」したシミュレーターを置き、宿泊やランチブッフェと組み合わせたパッケージプランを販売している。各地の鉄道の博物館などに行くと鉄道シミュレーターの前は子供たちで一杯で、順番待ちや時間制限があるため並ぶのが大嫌いな私はいつもパスなのだが、これらホテルでは思う存分に”大人のシミュレーター体験”ができるというものだ。宿泊するだけなら今なら都内で一泊数千円の安い部屋がいくらでも見つかるので、それなりの値段を払う価値があるかないかは正にシミュレーターを独り占めできるか否かの価値観次第だと云える。
とは云えJR系ホテルの新幹線の運転はあまりに自動化されていて面白そうでないし、京浜東北線や八高線も馴染みがなくて今一つ気分が盛り上がらない。どうせなら子供の頃から毎日利用した東急線のシミュレータールームがある、エクセル東急ホテルを選ぶことにした。こうして我が家から渋谷まで地下鉄で30分、午後3時のチェックイン開始時刻にシミュレーターがあるエクセル東急ホテル17階の1723号室に入ると、大きな画面を前にして電車の運転台が窓際近くに置かれ、壁面には東急の電車の写真や駅の案内版が張られていた。部屋に一足踏み入れれば、一瞬にしてここが「鉄オタ専用」の空間であることが実感できる演出である。そう言えばこのホテルは子供の頃よく利用した玉電の渋谷駅があった場所に建てられている。サラリーマンになってからも若い時分に渋谷駅から毎日のようにバスや新玉線(田園都市線)に乗ったので、私にとってはここは100%日常生活だった場所である。すっかり様相が変わってしまった渋谷の高層のホテルの一室で、限りなく非日常のトレインシミュレーターに座ると得も云われぬ感慨が湧き起こってきた。
大型のテレビスクリーンの前にある運転台は、東急8090形の実車にあるものとほぼ同じ機械のようだ。逆転ハンドルは作動せずEBボタンこそないが、力行4ノッチ、ブレーキは7段のワンハンドルの制御装置は本物と同じような作動音を奏で、ノッチ投入は多分実車と同じ力加減だと思われる(機械的な作動音がうるさいため夜間11時から朝7時までは運転をしないで下さいとの表示あり)。画面右上には”電車でGO”でお馴染みの速度や次の駅の停止位置までの距離、到達時間が表示されるほか、このシミュレーターでは電流計や圧力計もそれなりに反応し、回生ブレーキの表示も出て本当の運転席にいるような臨場感が体験できる。電源を入れスピーカーから流れるモーター音と共に東横線の運転を始めると、この10年以上家で"電車でGO"でさえ遊んでいないのでブレーキ動作がなんとも不慣れで下手くそなことを実感する。二人とも各駅で「船漕ぎブレーキ」の連続で、停止位置のはるか手前に停車してしまったり停止位置大オーバーばかりである。シミュレーターでは加速・減速や勾配が体感できず視覚のみで運転するので操作はなかなか難しいが、1時間も熱中して遊んでいると具合もわかってきて、運転後に示されるスコアも最初の50点未満から70数点まで上がってくるのが大いに励みになった。こうなるとゲームに嵌ってしまい、夫婦2人して夜は制限の11時まで、翌日はチェックアウトぎりぎりの午後1時まで、東横線、田園都市線、大井町線で8090形の運転を交代で堪能した。鉄オタスイッチがすっかり点灯した妻は「碓井峠鉄道文化むらの本物の電気機関車EF63(15年前に運転免許取得済)運転か、近場のE5系のシミュレーターか、はたまた大宮の鉄道博物館とセットの京浜東北線シミュレーターも捨てがたい」と悩むことしきりである。
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