姪の成人祝(帝国ホテル オールドインペリアル バー)
いつまでも「感染症対策ごっこ」に付き合っているつもりはない。久しぶりに飛沫を飛ばし合って大声で歌いたいものだと、先日はもと居た会社の若者たちとカラオケに繰り出した。時は金曜日の夕方、それも卒業や就職の季節とあってカラオケ屋は歓送迎会から流れてきた人たちで大いに賑わっていた。一通り歌ってトイレに立つと、狭い通路に、あるいはトイレ前に泥酔した若い女性が倒れている光景があった。どの場面でも友人らがハンカチを出したり肩をさすったりの介抱をしているのだが、若い女性が意識を失い通路に足を投げ出しひっくり返っている姿は異様である。こんな醜態をみせるまで酒に飲まれてしまうのは如何なものか、もう少し酒の訓練をしとけよと忠告もしたくなる。
若い女性も自分のアルコール限界や酒との距離感を早くから知っておくべきだと、20歳になった姪の大学生を帝国ホテルの「オールドインペリアルバー」に連れて行った。「20歳になったら叔父さんと一度正式なホテルのバーに行こう」と以前から約束していたのだが、いざとなると、二人きりで何を話そうか、周りからはパパ活?援交?と見れるのかなどと妙に落ち着かない。ややキザだが赤いバラ一輪を買いバーのカウンターで彼女を待つ間、注文を取るバーテンダーに「いや、成人になった姪と待ち合わせなので暫く待たさせてもらうよ」と聞かれもしないのに状況を弁解するのが我ながら滑稽である。
普段はビールとウイスキー、それにワインくらいしか飲まないから食前酒に何が適当か、などと若い娘にウンチクを語るほどの知識はない。なので家を出る前にネットで食前酒とはそもそも何かとか、ロングドリンクは何がロングなのか、などについて一通りの予習をし、少し遅れてやって来た彼女に「何を飲む?」と尋ねた。すると彼女はやにわスマホを取り出し、「これ、この間マルタに英語留学した時にヨーロッパの友達がよく飲んでいたカクテル」と、我々世代は聞いたこともないようなドリンクをバーテンダーに注文する。聞かれた方は一瞬考えたのち「わかりました」とにっこり笑い、後ろの棚から酒瓶を探し出し鮮やかにシェーカーを振るあたりさすが帝国ホテルである。
彼女の目の前に運ばれてきたカクテルは、なんでも「エスプレッソマティー二」という名前だそうで、帰宅後に調べるとコーヒーとウオッカのカクテルで、いま世界的に人気が急上昇中だと云う。こったカクテルなど知らないオヤジ世代の食前酒、私のジントニックと彼女のしゃれたグラスを合わせ、姪が成人になったお祝いの杯をあげたのだった。それにしても最近はバーで適当なお酒を見つけるのもスマホなのかと、電話とメールにLINEくらいしかスマホを使わない私は若い人たちの活用術に驚くばかり。その後ホテル地下の「ラ ブラスリー」でワインと共に名物のシャリアピンステーキや舌ビラメを楽しみお開きとしたが、地下鉄の駅で別れた彼女の後姿を見つつ、酒とはうまく付き合えよと、二日酔いで使い物にならない日をしばしば経験した人生の先輩から思いを送った。
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