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2022年4月24日 (日)

KAZU 1の遭難事故

20220424
二級小型船舶操縦士講習テキスト

知床半島で観光船が行方不明になっている。今朝の時点で遭難された方が数名見つかったようだが、強風波浪注意報が出て波高3米と海が荒れた中、知床半島で何がおきたのだろうか。海水温度3度と云われる冷たい海で乗船者の一刻も早い救助を祈るばかりである。海難事故には仕事がら関心を寄せてきたので、今回の件を契機にあらためて以前受講した「二級小型船舶操縦士」のテキストブックを取り出し、小型船舶の要件をおさらいしてみた。とりあえず教則本やテレビの報道とともに、船舶安全法の該当箇所をざっと読んだ限り得た知識は以下の通りである。


不明のKAZU 1のスペックや建造年、造船所などは不明なれど、本船の総トン数は19総トンゆえ、「小型船舶」(総トン数が20トン未満の船舶)だと規定できる。小型船舶は船舶安全法で堪航性を担保するさまざまな規則からの除外項目が多いのが特長である。船長も20総トン未満を操船できる「小型船舶免許」を保持していれば良い。平成15年6月以降は旅客輸送に従事する者には「特定操縦免許」の受講が必要だが、当該船長はどの資格の免許を保持していたのか、またこの講習を受講したかは不明。


昨年6月にKAZU 1は出港後に座礁事故を起こしたとされている(但し国交省の船舶事故調査委員会ホームページには本船の事故の記載がないので軽微なものだった可能性あり)。NHKニュースによると同業者はその時以来船首部に亀裂が入っていたとコメント、またSNSでは他社が躊躇する荒天でも出港していくとの書き込みがあったが、この真偽のほどは不明である。


小型船舶の船体は国の代行機関である日本船舶検査機構(JAPAN CRAFT INSPECTION ORGANIZTION)による5年ごとの定期検査が必要である。1年ごとの中間検査のほか海難や火災などで船体や機関に重大な損傷を受けた際には随時検査が必要となる。本船は今月の検査を受けたとの報道があるが、もし「船首に亀裂が入っていた」とすればそれでパスしたのだろうか疑問が湧く。


本船は資格的には陸上より20海里以内に限って航行が可能な「沿海区域」資格の船と考えられる(或いはより基準の緩い沿岸区域資格か?)。船舶安全法の小型船舶安全規則によると、沿海水域限定の場合でも浸水した海水から機関を守るなどの隔壁が必要とされるようだ。救命いかだや海難事故の際の自己点火灯、自己発信信号などは備え付けが義務付けられており、危急の際の船外への脱出口も十分な大きさが定められている。しかし今後小型船・沿海限定資格に関する様々な緩和要点が浮き彫りになるかもしれない。現場は北方領土でロシアとの紛争が続く海域に近い。空・海の安全に留意され捜索活動を展開して欲しい。


【2022.4.25追記】
1.沿海水域限定の小型船舶は救命いかだに代えて救命浮器でも可とのこと(小型船舶安全規則第五十八条2)。

2.KAZU1は1986年に山口県の造船所で建造された「ひかり8」という瀬戸内海諸港の連絡用船舶だった事がネット情報で判明。2016年ごろに知床観光用に売船されてきた模様。もともと平水区域である瀬戸内海用に造られた小型船を春~秋に知床(沿海水域)で運航しているわけだが、(必要あらば)相応の備品の変更などをした上で毎年の船舶検査を受けているはずである。瀬戸内海各港を廻る小型定期船はふつう15ノット~20ノット以上と航海速度が速く、デザインも遊覧よりは速達性・定時性に適したものになっており、必ずしも北国の知床観光に適した船舶とは言えないと思われる。

 

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