飛鳥Ⅱ 電気系統の不具合で4月11日まで長期修理
購入したジェットフォイルの航走(PUNIP CRUISE氏の水彩画)
3連休の先週末は、ドライブがてら横浜港大さん橋から「春の連休 四日市クルーズ」に出港する飛鳥Ⅱを見送りに行った。ちょうど旅行会社ゆたか倶楽部の横浜港大さん橋営業所内で船専門のイラストレーター"PUNIP CRUISE"さんの作品販売会が行われているので、リフォームした我が家に似合う絵がないかと思いたったのだ。気にいった小さな絵を買い、大さん橋の送迎デッキ(くじらの背中)に持参のUW旗を片手に出ると、目の前の飛鳥Ⅱは出港約30分前の避難訓練にさしかかるところであった。クルーが集合場所を示すカードを手にプロムナードデッキに立ち、出港セレモニーのバンドも演奏を始めたところで、突然「電気系統の不具合のため避難訓練を延期します」との船内放送が対岸の我々にも聞こえてきた。「あらら」と思いつつ見守るうち、出港予定時刻である午後5時少し前に出港は延期する旨の船内放送があった。いつ出るか分からない船を眺めていてもしょうがない、見送りはお開きとしUW旗を撤収、家に帰って大さん橋の中継カメラを見ると、夜になってもまだ飛鳥Ⅱは出港していない。そのうち乗船者のツイッターで「クルーズは中止、明日10時下船がきまった」ことがわかった。
お詫びでその晩は船内はフリードリンクだったそうだが、クルーズのためにPCR検査を何回も余儀なくされ、荷造りをして期待に胸を膨らませ3泊4日のクルーズにようやく乗船、なかには家族・友人の見送りもあった中でなんともしまらない話だ。と思っていたらその後飛鳥Ⅱの郵船クルーズからは4月11日までのクルーズをすべて中止すると発表があり尚更驚いた。電気系統の複雑さは客船と比べると比較にならないが、もし貨物船が荷物を積んだまま3週間も機関不調で止まってしまえば、荷主への説明や貨物の安全保持に船会社はてんやわんやの事態となる。たまたまウイルス禍で乗船客がきわめて少なく、何と言っても人間は歩いて下りてくれるし、航海も国内限定のショートクルーズばかりなので今回は混乱も限定的だったのは不幸中の幸いであろう。無念の乗船客には払い戻しのほか、旅行約款にはなくとも迷惑料としてクルーズ割引券などが配られるのだろうか。
本船は船齢が30歳を超えたうば桜とは言っても、1月から3月初めまで佐世保で長期ドックに入っており、この航海はドック明けの初営業航海と云うのに一体電気系統に何がおきたのか。船はさまざまな機械の塊である。ドックで解放点検を行うとかえってその後にその箇所の調子が悪くなる、というのはよく聞く話だが、それにしても修理に20日以上要するとは堪航性に影響する致命的な故障なのか訝かしく思う。それとも不具合の機器が外国製で取り寄せに時間がかかるのか。本船はもともと日本郵船が往時所有していた米国のクリスタルクルーズ向けに作った外国籍のクリスタルハーモニーである。三菱重工で建造されたので船内の主要機器は国内のメーカーのものだったが、新造時は電気関係や補助エンジンにフィンランド製の機械も据えられていた。ただ日本籍の飛鳥Ⅱとなってすでに15年以上経過し、取り換えが必要な機器は手近な日本製となっているはずである。レーダーは当初の外国製が日本無線製になっているのはデッキに出れば一目でわかる通りなのだが、はたしてエンジン・電気系統は違うのか。飛鳥Ⅱは5基のエンジンで発電した電気を使いモーターでプロペラを廻すディーゼルエレクトリック推進で、この装置になにか固有の欠陥があるのか。乗船者の安心のために、郵船クルーズは不具合に関する必要な情報を公開することを望む。
(むかしヨーロッパの荷主の要望でノルウエーの造船所で専用の貨物船を造ったことがあった。クルーの居室はホテルかと思うほど豪華な仕様だったが、とにかく初期は船の不具合が多く、修理も手間暇がかかって暫く関係各所が大変だったことを思い出した)
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