飛鳥Ⅱ「秋の瀬戸内航行 土佐クルーズ」その1(乗船前編)
飛鳥Ⅱの「秋の瀬戸内航行 土佐クルーズ」に乗船してきた。神戸発着の3泊のクルーズである。今年のゴールデンウィーククルーズ中、乗客のうち1名が乗船前に感染していたことが判明し、出港翌日に横浜に引き返す事態となり悪目立ちした飛鳥Ⅱであった。10月の営業再開後も船内感染へのこれでもかと云う追加対策で、いま販売されるクルーズは2泊が中心の短いものばかりである(2クルーズ以上の連続乗船は不可)。それも無寄港クルーズか、あるいは寄港しても船を受け入れてくれるが清水、四日市、新宮などで、これらは我々は今まで何度も訪れたお馴染みの場所ばかりとあってあまり興味が湧かない。ということで春に予約していたクルーズが何度もキャンセルになって、フネには乗りたし、しかしスケジュールは物足りなしでしばらく乗船を躊躇し機をうかがっていたところであった。そんな中「秋の瀬戸内航行 土佐クルーズ」はこの時期では最長の3泊、最終日に神戸で下船の時刻も午後2時と比較的ゆったりしているのが魅力的であった。ゆっくりと昼の瀬戸内海を航行、それも久しぶりの三原瀬戸の景色を楽しめるうえ、高知新港も我々には初めての訪問とあって、新幹線で神戸まで往復して飛鳥Ⅱに乗船することにしたのだった。
出港当日は13時に神戸のポートターミナルに集合なので、東京からなら朝出れば間に合うと主張する妻に対し、新幹線が遅れるなど旅は何があるかわからない、と念のため神戸で前泊することにした。ところが本当に旅は何が起こるかわからない。「大人の休日倶楽部」で乗れる「ひかり657号」に乗車すべく東京駅の東海道新幹線改札口に着くとザワザワと人だかりがして、なにやら異様な雰囲気である。説明に声を張り挙げる駅員のハンドマイクによると、この日の昼過ぎに豊橋駅で線路に降り「のぞみ」にぶつかった人がいてダイヤが大幅に乱れているとのことだった。事故の影響で上りの列車が到着しないため折り返し列車が仕立てられず、やりくりのつく編成で下りを順次出発させているとの説明であった。予約した列車は少なくとも2時間以上遅れると聞き、深夜の新神戸着かと一瞬愕然としたが、2時間遅れの「ひかり519号」岡山行きが出るとのアナウンスがあり咄嗟の判断で自由席に飛び乗った。立って行くことも覚悟はしたが、幸いなことに飛び乗った車両に空席も見つけた上に車両は最新のN700形のSUPREME!。この列車は後続の「のぞみ」がなかなか東京を発車出来ないためか、いっさい退避待ちなしの上、最新鋭SUPREMEの余裕からか回復運転にこれ努め、熱海・静岡・浜松停車でも新大阪まで2時間40分(のぞみ最速は2時間21分、ひかり最速は3時間弱)と予定より早く到着してしまった。旅にハプニングはつきものだがこういうラッキーもたまにはある。
翌日は、神戸のクルーズターミナルから飛鳥Ⅱに乗船である。と云ってもいま、クルーズ船に乗るのもそう簡単ではない。乗船2週間前からの「乗船前健康チェックシート」への日々の体温・体調記入、1週間前の唾液検体採取による郵送「事前PCR検査」に加え、ワクチン接種済みエビデンスの提示がこの秋からの乗船手続きに加わった。ワクチン未接種の乗客については、乗船の3日前(または4日前)に自費で「PCR検査 等温核酸増幅法⦅LAMP法、SmartAmp法など⦆」を受け陰性報告を提出する必要がある。ターミナル入口で検温と荷物預けをした後、うやうやしく私はワクチン予防接種済証を、「とりあえずまだワクチン受けない派」の妻は、新宿にある民間検査機関で受診した「新型コロナPCR検査結果報告」のメールコピーを提示する。そうして館内でようやく「乗船当日PCR検査」を受けられる訳である。「当日検査」は乗客を30名ほどのグループに分け、各自が綿棒状のスティックを30秒間口に含み、それを(同室者は同じ)容器に入れて提出する方式であった。提出した後、飛鳥Ⅱ船内に新しく導入されたシステムで検体分析が行われる間は、グループごとにホールの椅子に腰かけて待つ。こうして一時間あまり、グループ全員が「陰性」と判明してから乗船カードを受け取り、やっと一団で乗船可能となるのである。こんな検査の当日に限って喉がムズムズしたりして「ここまで来てヒョっとして?」などと不吉な予感が脳裏をかすめるものだが、ホールを見渡す限り問題が生じた乗船客は見当たらなかったようだ。これらが済んでやっと無菌(無ウイルス?)状態の飛鳥Ⅱ船内に乗船することができた。
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バルクキャリアー様
ご無沙汰しております。咄嗟の判断で「ひかり519号」自由席に飛び乗ったのはお見事でしたね。その日の東京駅の混乱ぶりはよく覚えています。
と言いますのも「ひかり519号」の定刻である16時過ぎに東京駅にいたのです。駅近辺の会談で生涯忘れ得ぬ重要判断を下し高揚感に包まれて1番線ホーム(中央線)に向かっておりました。13時頃からストップした東海道新幹線の影響で東京駅は大混乱に陥り「15時半には運転再開するとアナウンスしていたのに一体どうなっているんだ」等と怒号も飛び交い駅員・乗客とも疲労困憊の様子でした。
この滅多に起こり得ない東海道新幹線の人身事故により数万人以上の乗車予定の人々が災難にあったわけです。そんな大混乱の中を「ひかり657号」より「ひかり519号」乗り換え当初の予定より早着する、しかも車両は最新のN700形SUPREMEとくればラッキーとしたものです。
この様な幸運を引き寄せる瞬時の判断を下せたのもバルクキャリアー様が持つ「豊富な旅の経験値」が成せる業だと察します。ラッキーなタイミングでの旅の始まり、さぞかしその後の旅も充実したものとなったことでしょう。
投稿: M・Y | 2021年10月24日 (日) 07時24分
M・Y様
おしさしぶりです。コメントをありがとうございます。
あの日、数時間違いで東京駅の混乱に巻き込まれていたのですね。ビジネスの高揚感と新幹線事故と、M・Yさまには印象深い日であったに違いありません。
大人の休日倶楽部の大幅な割引は「ひかり」「こだま」号にしか適用されないので、どうするか当日は一瞬迷いましたが運よく「ひかり519」がすぐ発車したのはラッキーでした。N700Sは乗り心地も改良されているのようで、帰りに乗ったN700Aより揺れが少なかったように感じました。
今回のウイルス禍も一段落、ビジネスに観光に、早く普通の日本に戻ると良いと思っています。
投稿: バルクキャリアー | 2021年10月24日 (日) 11時44分