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2021年7月20日 (火)

東京九州フェリー”それいゆ”乗船記(2)/(2)

20210720
左舷 大分県の関崎、右舷 愛媛県の佐田岬


横須賀‐新門司間に乗船して気が付いたことを記すことにする。

  1. クルーの対応
    船内の案内所やレストランのサービス係に何かを質問をしたら、決してお座なりな答えではなく、聞きたいポイントを笑顔で丁寧に教えてくれたのは大変好感が持てた。レストランはタブレットを使用して注文する方式だが、こちらが手間取っているとそれを察した係員がさっと近付いてにこやかに手順を教えてくれる。昼食はデッキでIHコンロを使ったBBQを楽しんだが、ここでもメニューの料理の量やドリンクの種類・値段を分かり易く提示してくれた。この笑顔は一部のクルーだけでなく船内で出会ったクルーすべてで、会社の教育やサービス方針が徹底していることを感じた。船長の挨拶も必要な航海情報を過不足なく知らせてくれ、きわめて適切で有用なものだった。
  2. 乗客の織り成す雰囲気
    夏休みの前だったため、クルマでの乗船者と徒歩での乗船を合わせても船客は100名程度だったようで、船内はのんびりした雰囲気だった。乗船者は若者や働き盛り年代の男性が多く、新造船で営業が始まったばかりのためか乗り物マニア、船オタクらしき人たちも散見された。たまたまなのかもしれないが、通路ですれ違う際にちょっとよけてくれたり、エレベーターのドアを我々のためにホールドしてもらう、あるいは写真のシャッターを切りましょうかと申し出てくれる場面などを幾つか経験し、国内旅行では珍しく気持ちの良い距離感だった。
  3. 客室
    ”それいゆ”ではプライベートテラス(ベランダ)やごく小さなバスタブがあるデラックスルーム(24平米、うちテラス6.8平米)は僅か2室で、18あるステートルーム(18平米)はテラスがなくシャワーのみである。扉でセパレートされているツーリストSクラスが62ベッド、蚕棚形式ながらプライバシーに配慮されたツーリストAは96人分が用意される。系列の新日本海フェリーはゴージャス志向で、スイートルームや16~24室あるデラックスルーム(除く和室)にテラスがあるのに対してシンプルな造りといえる。また新日本海フェリーでは上級キャビン向けにレストランの他に専用グリルが設置されているがこちらにはそれがない。本船は夜行で瀬戸内を走る傍系の阪九フェリー並みの仕様といえるが、東京九州フェリーは一昼夜近く航走するのだから、船旅の楽しさを掻き立てるような豪華な設備がもっとあっても良いのではないか。本船の設計に際して横須賀‐新門司間の客層をどう想定していたのだろうか知りたい気がする。
  4. デッキプランと船内アコモデーション
    露店風呂付き大浴場、フォワードサロン、アミューズメントルーム(カラオケ)、スポーツルーム、ドッグフィールドなど最新のフェリーとしての施設は完備している。ただ本船名”それいゆ(ひまわり=北九州市の花)”をイメージしているのかもしれないが、木目調の壁板やみどり色・黄色を多用したカーペット・扉などはカジュアル過ぎる感じがするし、全体的に各所の照明は明る過ぎで、エレベーター廻りを彩る照明はまるでゲームセンターのようである。総じて日本のフェリー全般に云えるのだが、船内はもう少し暗く、アコモデーションはよりダークでシックなものにして欲しいところだ。また乗客に開放されているデッキは主に6階だが、せっかく船尾方向に広いオープンスペースがあるのだから5階か4階のデッキにウォーキングトラックなどを設けて欲しいと思った。
  5. うねりの影響
    今回の航海では波高は約2.5米ほどだったが、船尾から船首方向に向かって太平洋の彼方から押し寄せる大きなうねりが見られた。スマホに組み込んだクリノメーター(傾斜計)では、ローリング・ピッチングとも2度ほどであったが、低気圧に接近すれば、船体が細く高速で走るフェリーが揺れやすいのは確かだろう。本船には揺れ防止のフィンスタビライザーが装備されているものの、スケジュールに従い定時運行が重視されるフェリーは、多少の時化でも速度を落とさずに針路を保持するために酔い易い。しかしこの揺れも船旅の一部と心得て楽しめば、21時間余りの船旅もさして苦にならないというものだ。首都圏から北九州に旅するのに飛行機、新幹線のほかにこれからは直行フェリーという手段が加わり選択肢が一つ増えることはとても嬉しい。潮岬、足摺岬、関崎など名だたる岬の景色も堪能出来るこの航路の繁栄を期待したい。


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明るい色調を使い過ぎて安っぽいと感じた船内

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コメント

バルクキャリアーさま
こんな最新鋭のフェリーが今月から就航していたのですか、大変興味深く「それいゆ乗船記」拝読しました。早速東京九州フェリーのHPにアクセスしてみると露天風呂やスクリーンルーム、開放的なロビー等々私が想像するフェリーとは別物で随分立派な船ですね。レストランのメニューも実にリーズナブルです。

普段は慌ただしく飛び回っておりますので、21時間かけて北九州まで大海原を堪能して帰りは積み込んだ自家用車で自由自在にドライブしながらゆっくり帰ってきたい、そんな妄想を抱きました。これまでとは違った世界観が広がりそうなので一度は時間を作って実行してみたいと思います。

息子が青春18きっぷで東京から博多まで普通列車で行きたいと言うので今宵は中間点の大阪です。私と妻はそんな苦行には付き合いきれないので飛行機ですが(笑)
トップスピードを落としてゆっくり走ればこれまで見えなかった景色が見えるかもしれない、そんなことをふと思わせる乗船記でした。

M・Yさま
ご子息は青春18きっぷですか。「鉄道ジャーナル」9月号にちょうど青春18きっぷの特集があり、興味深く読んでいたところです。私も各駅停車の旅が好きで広島などに出張し帰路が週末になると、山陽本線の各駅停車や快速列車を乗り継いでよく帰ってきました。ただ大阪くらいまで帰ってくるとそこで疲れてしまい、最後は東海道新幹線に乗るという軟弱派でしたが。

今回フェリーの旅の帰路は、山陽新幹線に乗り入れるJR九州の「さくら」に新大阪まで乗りましたが、こちらの普通車指定席は横が2+2列のグリーン車並みで快適でした。「大人の休日倶楽部」利用らしいシニアー層もちらほらで、客足が一部戻ってきたと感じておりました。幾度も出される意味のない外出自粛要請や県を跨いだ移動自粛要請は、もう飽きられて人々の心に響いていないのでしょうね。

M・Yさまも時間ができるようになりましたら、是非船旅にチャレンジされることをお薦めいたします。

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