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2021年7月25日 (日)

京都鉄道博物館

20210725

夜9時過ぎ、東京九州フェリー”それいゆ”を新門司港で下船すると、徒歩乗船客のためにJR門司駅経由でJR小倉駅までの無料連絡バスがあった。この夜は小倉駅のJR九州ステーションホテル小倉に一泊、翌日「大人の休日倶楽部」を利用して、新幹線で帰京することにした。とはいっても真っすぐにトンボ帰りは芸がないので、途中下車して京都で寺社見物でもするかと考えたが、妻がそれは次回ゆっくり行くとして今回是非行きたい所がある、ということで梅小路にある京都鉄道博物館を訪れた。確かにここなら京都駅に近く九州からの道中に立ち寄るには手ごろな場所だと云える。これまで神田須田町にあった旧交通博物館や大阪弁天町の旧大阪交通科学博物館はじめ、大宮の鉄道博物館や名古屋のリニア・鉄道博物館を訪れ、海外でも米・ボルチモア鉄道博物館などに行ったとおり、時間が許せば各地の鉄道博物館を訪問しようと心掛けてきたが、聖地ともいえる梅小路は確かに鉄道ファンとして一度は経験してみたい場所だ。


京都鉄道博物館は、2014年に閉館した大阪弁天町の交通科学博物館と2015年に閉館した梅小路蒸気機関車館が合体して出来た施設である。新大阪方面に向かって東海道新幹線下り列車で京都駅を発車すると、ほどなく進行右手に灰色の扇形機関庫が見えてくるが、これが旧梅小路機関区である。この機関区にはかつて東海道本線の特急「つばめ」や「はと」などの優等列車を牽引したC62はじめ多くのSLが所属し、最後は昭和46年まで山陰本線を走ったC57などがいた名門の機関区であった。SLの運用なき後、1972年にSLの動態保存を目的に機関区は梅小路蒸気機関車館となったが、ここに交通科学博物館の展示物などを加え、2016年新たに京都鉄道博物館として開業した。この京都鉄道博物館には蒸気機関車から東海道山陽新幹線500型まで53両の鉄道車両や数々の展示物がおかれており、なかでも20両に及ぶSLの動態保存が博物館の目玉になっている。現役の東海道本線(JR京都線)や山陰本線(JR嵯峨野線)の列車が目の前を走るのもいかにも鉄道博物館らしい好立地といえよう。


館内の展示物については、大宮の鉄道博物館で感じた事とあまり変わらずツッコミ不足と思える。例えばEF66電気機関車の実車展示があり、その横にある案内版には「EF66は従来の吊駆式でなく中空可とう駆動方式を採用」だとか「台車は揺れ枕つりを介して車体を結んでいましたが、EF66では空気ばねの横たわみを利用する構造を採用」などとマニアックな説明がされている。その台車の構造を見学できる通路もEF66本体下部に作られているのだが、眼前の実車を前に台車のどこが「中空可とう駆動方式」や「空気ばねの横たわみを利用する構造」なのか具体的に表示されておらず、せっかくの解説が生かされていない。また貨物列車のさまざまな運用を分類するパンチカードは旧大阪交通科学館からの持ち込みで実際に見学者が扱えるのだが、肝心のカードは誰かが持ち去ったのかなくなっており使い物にならない。そのほか入換信号と進路表示器は展示が逆で、内容のわかる係員がいないかと探してみたが、博物館でよくある様に「学芸員」が見当たらない。これまでの「鉄道博物館」で記したように、大人の鉄道マニアが”目からうろこ”とばかり楽しむには、より専門的な展示や資料がやや少なすぎる感がした。


とまあディスってはみたものの、京都鉄道博物館の展示は子供たちやオタクでないフツーの鉄道ファンの知的好奇心を掻き立てるにはとても良く出来ていると思う。館内には一世を風靡した数々の名車両が展示されているほか、シュミレーターを使った実体験コーナー、大きな鉄道ジオラマなど工夫をこらした様々なディスプレイが設置され、日曜日で父母に連れられた子供たちの人気を博していた。屋内の展示ゾーンを抜けて大きな扇形機関庫の前に出ると、そこにあるのは転車台を挟んで多くの蒸気機関車の雄姿であった。なかでも線路上にたたずむ何台かの機関車には石炭が実際に積みこまれ、車軸の下に油受けが置かれて、これら機関車たちが「生きている」ことを感じ取ることができる。公園などに朽ちて置かれたかつての名機関車を見ると何とも寂しいが、ここ梅小路ではどの機関車もよく整備されて余生を楽しんでいるかのようだ。傍らで子供たちが蒸気機関車に歓声をあげているのを見るとなぜかこちらまで気分がなごみ、多くの家族連れで賑わうC56が牽引するトロッコ列車SLスチーム号に300円を払って乗り込んでしまった。

これまでアップした鉄道博物館のブログ
鉄道博物館(2010年11月3日)
名古屋リニア・鉄道館 車掌シュミレーション(2015年3月10日)
ボルチモア鉄道博物館とマクヘンリー砦(2018年6月11日)


阪急2000系に使われた私の好きな住友金属製ミンデンドイツ台車FS345の展示
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鉄道」カテゴリの記事

コメント

バルクキャリアーさま
素人筋とは視点が違うEF66等のマニアックな細部の突っ込みは、流石は筋金入りの鉄道ファンでいらっしゃると唸りました。息子も先週訪れましてMARSでの発券体験やJR西日本の車輌を堪能出来たと満足しておりました。
私は「哲学の道」でも久々に散策するかと妻と南禅寺から小一時間歩きましたが、想像を超える猛暑にフラフラになり塩分補給にとタクシーで駆け込んだ湯豆腐屋(西源院)で「京都の夏は舐めたらあかん」と思い知りました。

さて、オリンピック開催にあれだけ反対していたマスメディア(特にモーニングショー)は予想通りのオリンピック一色の手のひら返し報道となっておりますが彼らに恥と外聞はないのでしょうか、視聴率を稼げれば何でもアリなのでしょうが見事なまでのご都合主義・ダブルスタンダードに呆れるかりです。

それにしても昨夜の水谷・伊藤ペアが中国ペアを撃破しての大逆転金メダルは非常に喜ばしくスカッとしました。中国メディアは選手を称えることは一切なく「恥だ・遺憾だ」と報道していますがかえって民度の低さを象徴して笑えます。
韓国も選手村で提供される野菜は放射能に侵されているから食べれないとか言いがかりをつけていますが、一事が万事やっかいな因縁をつける隣国(支那・朝鮮)に対し毅然とした対応が出来る健全なる保守の台頭を願うばかりであります。

バルクキャリア様

お久しぶりです。それいゆの乗船記と併せ、楽しく読ませていただきました。全国的に見ても久しぶりの長距離航路開設なので近いうちに乗船したいと思いました。

さて、鉄道博物館ですが、確かにおっしゃる通り「お子ちゃま向け」な展示がどこも多くなっていて、大人が知的好奇心を揺さぶられるところが少ないですが、数年前に大宮の鉄道博物館に新設された新館は訪問されましたでしょうか。こちらは鉄道開設以来、時系列に追った展示がメインとなっており、昨夏久しぶりに訪問したときには興味深くみることが出来ました。何かのご参考になればと思います。

p.s.撒積船を含む海運業界が久々の活況で、小生が勤める会社もこの好況に逆に慣れていないせいか、いろいろな策を考えさせれられ、ある意味嬉しい悲鳴状態です。

長々失礼しました。

M・Yさま

確かに京都は冬寒く、夏は暑いですね。今回も最初は寺社仏閣参拝も考えたのですが梅雨空もあって鉄道博物館にしました。M・Yさまのコメントを拝見すると博物館で正解だったかも。

オリンピック報道は予想通りのメディアの反応ですね。社説で開催反対を唱えた朝日新聞は、選手一人一人の写真入りプロファイルを乗せた大特集をしたとのことで笑ってしまいます。あれだけ五輪反対の論陣を張ったためか、ブーメランで朝日主催の夏の高校野球は関係者以外は観客なしになってしまいました。しかし今だになぜ日本人だけの観客で、プロ野球やJリーグ、大相撲は観客を入れてよく、オリンピックがダメなのか首を傾げるばかりです。

そもそもオリンピック・パラリンピックを政局にして分断を意図するというのが如何にも大人げない。いまメダルを取った選手がみな「この機会を作ってくれた関係者に感謝します」とのインタビューのコメントをしていますが、それを聞くにつけオリンピックをやって良かった、できれば観客を入れればもっと良かったと日々強く思っております。

viviogx-tさま

お久しぶりです。コメントをありがとうございました。

鉄道趣味は乗り鉄・撮り鉄を始め、運転、システム、電気、エネルギー、歴史、地理、土木、保線、車両、会計など実に多岐にわたります。また子供たちの興味を掻き立てる展示も必要でしょう。それぞれ一家言あるマニアや年齢が違う人たちを満足させる博物館というのは難しいのでしょうね。

ブログにも書きましたが気軽に質問できる学芸員が館内あちこちにいれば、マニアックな質問にも対応可能ではないでしょうか。JRや民鉄のOBをボランティアで配置してもらうなどの対応はできないかと考えます。

大宮の鉄道博物館の新館はまだ行ったことがありません。鉄道史に沿った展示には興味津々なので今度訪問してみたいと思います。

フェリーについては長距離トラックドライバーの運転手が不足しているおり、どうか新航路が成功裏に推移して欲しいと願っております。それにしても海運各社は引き受け荷物に沿った船隊規模、事業規模にしたところ、思わぬ好景気で今度は船不足で困っているようですね。いま用船市況が上がって一部逆ザヤ運航に悩んでいるとのこと。そして船隊を拡大すると次は一挙に不況ですか?海運は上場企業の産業ではなく山師のような資本家がやる産業が似合っているのでは考えてしまいます。その意味で私は現役時代は一貫して船隊スペースは荷物を上回るべしとしていた守旧派でしたが4勝6敗(いや3勝7敗か?)だったかな。でもそのバカ勝ちした3~4勝の美酒の味が忘れられません。

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