半日鉄道プチ旅行 久喜行き
東武スカイツリーラインは北越谷まで複々線・日比谷線から直通してきた各駅停車を抜く急行前面展望
テレワークが良いのは監視する者がいないことで、その日に大した用事がなければ外出して遊んでいても誰にもわからない。これまでもあまり自粛要請には従っていないものの蔓延防止とかの生活にも飽きてきたので、先日はテレワークの合間を縫い「鉄分」補給の半日プチ旅行に行って来た。今回は都内から東武スカイツリーライン、伊勢崎線経由で埼玉県の久喜駅まで行き、帰りはJR東北本線(湘南新宿ライン)で帰ってくるという往復100キロの行程にした。都内で東急田園都市線や地下鉄半蔵門線に乗ると、南栗橋行きや久喜行きの電車がよくやって来るが、東京の城南地区で育ち川崎市で永らく暮らした私には東武線沿線の地域にまったく馴染みがない。かねてよりこれらの電車の終点に行ってみたいという願望があり、それを実現せんと半日の息抜きをしたのである。これまでも東武の日光行きのデラックスロマンスカーには何度か乗ったことがあるものの、特急のリクライニングシートに座ると直ちに同行者と缶ビールを”プッシュー”が常だから、今回は純粋にかぶりつきで乗り鉄を楽しみたいと考えた。
ということで北千住駅で久喜行きの急行を待つと、地下鉄半蔵門線経由で入線する車両は、相互乗り入れ先からやって来た東急の5000形である。せっかく東武線の旅を楽しもうと思っていたが、ここで東急の車両とはテツとしてはちょっと場違いな気がしないでもない。最近の東武車両は運転席の真後ろが仕切り版となっておりガラスの窓がないが、せっかく全面ガラス窓で眺望の良い東急車両に乗車したのに、例によって運転手側のブラインドが下がり視界が一部遮られていた。組合闘争が盛んだった60年代、東武線でブラインドの向こうの運転士が停車駅で漫画本を読んでいたのをホームから目撃したことがあるが、今でも東武は組合の力が強くこういうことになっているらしい。JRもその他の私鉄も昼間やトンネル外はみな前面全開なのに、真昼間からブラインドを下げるという悪習はもうやめたらどうかと思う。案の定、右側のガラス越しにキャブをのぞけば、信号喚呼の声は聞こえず、信号確認を指差す手も「ただ、やってます」感のちょっと緩慢な風に見えた。
それはさておき、さすが北千住から埼玉県に伸びる東武のトランクライン(幹線)は施設的に立派である。北千住から北越谷までの20キロほどが複々線になっており、私が乗車した平日の昼には久喜や南栗橋行きの急行が急行専用線を、北千住から乗り入れる地下鉄・日比谷線各駅停車が緩行線を使用し、緩急接続(急行と各駅停車間の乗り換え)が効率良くできるような設備が整いダイヤが組まれているようだ。そのほかに場所的に余裕のある駅では急行線の外側に特急通過線も敷かれており、さすが有料特急を多数運転し、近鉄に次いで民鉄第2位、関東NO.1の路線網を誇る東武鉄道だけのことはある。住宅やビルの密集した地域の複々線では各駅停車の列車と並走したかと思う間もなく、窓外は次第に郊外の景色と変わり、ほどなく一直線に線路が伸びる沿線に田園風景が広がっていく。こうして車窓を楽しみつつ、都内から一時間弱でJR線接続の久喜駅に着いた。
東京近郊のどこにでもあるような久喜の駅前をぶらりと冷やかし、帰りはJR湘南・新宿ライン逗子行きのE231系電車のかぶりつきに乗車。こちらは前面展望もよくJRの若い運転士は指差し喚呼を確実に履行し、その際にキャブのモニター画面に異常がないかも確認しているのが気持良い。今回初めて湘南新宿ラインに乗ったが、列車は大宮から貨物線に入り、王子を過ぎて上中里の先から、中里トンネルで大きくUターンして山手貨物線に乗り入れるのを体験することができた。大宮から都内まで前面に次々と展開する幾多の線路群を眺め、進路が開通している方向(すなわち青信号が点灯している線路)はどこなのか、それはどの線に通じるのかなどを観察するのはちょっとした迷路探しのようだ。今はセンターでこれらポイントや信号を制御しているのだろうが、当たり前の日常とはいえ、時間通りに間違いなくポイントや信号が切り替わり、列車が確実に設定された目的地に向かう陰には多大な先人の努力と技術の積み重ねがある。鉄道のシステムはなんと精緻なものかその凄さを再認識しつつ、平日の午後に5時間、経費は2000円弱で近郊鉄道の乗車を堪能した。
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