電話調査
このところ、定期的に「週刊新潮」と「週刊文春」が我が家に回って来る。両誌を毎週購読している家庭から読み終わったものを週遅れで回して貰っているのだが、わざわざ買う程ほどではない週刊誌も「小室」問題などを暇つぶしにアップデートするにはちょうど良い。斜めに読んでさして記憶にも留まらない記事が多いとはいえ、週刊新潮の6月24日号では「新聞テレビに騙されるな、嘘だらけ『世論調査』の大半はゴミ」という記事が目についた。執筆者は大阪商業大学学長の谷岡一郎氏とあり、大阪商大のホームページを見ると、谷岡氏は学長で社会調査論などが専門とある。週刊誌といえども執筆者はこの道の先生で、その意見が4ページに亘って掲載されているので真面目に読んでみた。
世論調査が気にかかったのは、いま週末になると都議選に関するテープによる電話調査が頻繁にかかってくるからだ。この2週間で4回、土・日の昼過ぎに電話のベルが鳴り受話器を取ると、都議選とそれに付随したオリンピックや政党支持の電話調査である。こちらは急ぐ用事がある訳でなし、受話器を上げると電話口の向こうのテープは「無作為に固定電話に掛けております」と云うのだが、そもそも週末の昼下がりに固定電話に出る層を対象にしているだけで、サンプルに大幅なバイアスがかかっているはずだ。最近の若者はスマホで用をすませ固定電話を持つ所帯は、20代はわずか5%、30代で20%とのことで、これでは若者の声をまったく取り上げていないことになる。まして2分に亘る無味乾燥な質問にプッシュホンで答えるのも私の様に暇なシニアが多いだろうから、この都知事選の事前調査はほとんどが「団塊世代以上に限った」声だといえよう。
都議選に関する電話調査は大体が投票したい候補、支持政党、菅内閣の支持不支持、小池都知事の支持不支持、オリンピック開催の是非にこちらの性別、年代とどれも定型の質問である。今朝の読売新聞を読むと私が受けた電話の一つであろう都議選電話調査の結果が載っており、自民党支持が減り、小池知事の都民ファーストが後を追っているとある。また小池都知事の人気は高く、都民ファースト支持者が五輪の有観客開催に批判的などとあるが、どうもこれはテレビや従来の新聞から情報を得ている「ひまなリタイア世代に限った」声ではなかろうか。もっとも選挙に投票所に足を運ぶのも老人が多いから、若者も含めた実際の都民の声とは異なり、電話調査の結果予測と投票の結果が近くなるのかも知れないが、同じような調査を何度も受けるとこの程度のサンプルでまともな予測になるのか甚だ疑問に思うのである。
週刊新潮に掲載された谷岡氏の説明によると、私が今回感じたように「世論調査」では、サンプリングが適当かという問題がまずあるとされる。例えば「今年60歳になる」人に聞く貯蓄額に関するアンケートでは、退職金を貰っているか否かで大きく違うはずで、今年60歳にならんとする人をサンプリング対象にするのはミスリードであると谷岡氏は例を挙げている。そのほか回答者を一定の方向に導きがちな恣意的な設問もしばしば見られることを氏は指摘する。調査結果を分析する際には因果関係と相関関係の混同や解釈ミスが起きがちで、「収入が低いから草食化」するのか「草食系だから収入が低いのか」など調査によって結果と前提の混同が見られるそうだ。選択的夫婦別姓に賛成7割の欺瞞など「だいたいにおいてメディアが社会調査について大声で騒ぐときには、眉にツバをつけて聞いて欲しい」と記事は結ぶが、果たして都議選の当落については電話調査の結果に近くなるのか。何回も同じような電話調査を受けた身としてはその結果が待たれる。
追記:と思っていたら月曜日だというのに5回目の電話調査が来た。よほど都内には固定電話を持つ者がいないのか。こんな調査で良いのだろうか。
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