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2021年3月15日 (月)

膀胱がん+前立腺がん治療記(6/6・最終)

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再び「はい終わりましたよ」の声で手術から目が覚めると、前回と同じように体はチューブやらセンサーに繋がれていた。開口一番「輸血はしたのですか」と主治医に聞いたところ、「出血は400ccほどだったのでしていません」と言われまずはホッとする。術後2日目には病棟の風呂場で点滴と尿道カテーテルのまま自分でシャワーを浴びて下さいとのことで、日々社会復帰へ向け体がなまらないように日課が組まれているのがわかる。2年前の入院と違うのは、武漢ウイルス禍で手術日と入退院日以外の面会が謝絶となった事で、徐々に回復して元気になるにつれ、一人退屈で仕方がなくなってきた。もっとも開腹手術で前立腺を取った時代には3週間以上の入院が必要だったそうだが、腹腔鏡手術になって10日ほどとなり、ダビンチの導入で私の場合は7泊で退院と入院期間は大幅に短縮されている。医療の進歩は実に素晴らしいものだ。


前立腺の全嫡出手術の合併症は尿漏れと男性機能喪失で、ほとんどすべてのケースで起こるらしい。尿漏れについては、尿道カテーテルを外すにあたり院内にあるコンビニで尿漏れパッドを購入したのだが、何しろこんなものを装着した事などこれまであるわけがない。面会謝絶で妻の助けが得られない中、買ってきた尿漏れパッドをどうやって包装から出し下着につけるのか皆目わからず、仕方なしに若い女性の看護師に手伝ってもらう破目になった。「すみませんね、ジジイの下着の中などの世話をさせて」とついペコペコ頭を下げると、「いいんですよ、わからない時はいつでも言って下さい」と微笑む顔がやはり白衣の天使に見えたものだ。


男性機能喪失の方は、やはり心理的には寂しいものがあるが、命の事を考えれば仕方なしと割り切ることにした。数年前に同じ手術を受けた演出家の宮本亜門氏は、今年1月23日の読売新聞「からだCAFE」欄で「男性機能喪失は心配したほど精神的ダメージを感じなかった」。 「 尿漏れには苦労したものの…高齢女性の多くが悩む症状で、男性には理解しにくい困惑や恥ずかしさを実感することができた。舞台の上の物語を書く上で必ず役立つ経験になる。」などと恰好良い事を言っているが、彼のように達観した心境になるまではもう少し時間がかかりそうだ。


今回も退院にあたり主治医からは特段の禁止事項はなかったものの、しばらくは禁酒し、運動も一か月検診で普段の生活に戻して良いと云われるまではウォーキング中心に抑えることにした。その後、毎日、骨盤底筋を鍛える体操を自宅で行っている効果もあってか、尿漏れは徐々に改善し、手術から7か月たった今では日常生活ではそれほど気にならない程度、尿漏れパッドも少~中量用を一日一回替えれば良いという状態である。ただしジョギングは想像以上に身体に上下の振動を与えるようで、走った後は尿漏れがひどいことがあり、あわててパッドを交換する日もある。暫くはマラソン大会の出場は無理だろうが、同じ手術を経験した友人からの「時間はかかるがだんだん良くなるから焦らずに」という助言を糧にしようと考えている。


会社の健診に続き、たまたま家の近所に総合病院があり、そこで受けた人間ドックで見つかった2つのがんに、周囲の人たちは皆「早くわかって良かったね」と云ってくれる。特にドックから診療予約して貰った同じ病院の泌尿器科の主治医の先生は素晴らしい医師で、すべてが良い結果におさまったのだろうと感謝する日々である。また日頃から体力をつけておく事は、手術・検査や治療の領域を広げることがわかり、ふだんの節制の重要性が改めてわかったことも大きい。その他、掛け捨てになるだろうと思いながら永年保険料を払い続けてきたがん保険は、今回の2回の手術で元をとった勘定になる。もちろん病にならないのが一番良かったが、ならなければ判らなかった事、この歳ではあるが学んだことが数多くあったと前向きに考ることにしよう。(了)

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コメント

6回に亘る治療記、謹んで拝読させていただきました。
2月15日の「久々の皇居21分台」のコメント欄にて「70歳を目前として4、5年前のタイム水準に戻るのは驚きでその気力には尊敬の念を送ります」と申し上げました。その時は前立腺摘出を克服されて凄いなとの認識でしたが、膀胱がんまで患い克服されてきたとは改めてバルクキャリアーさまの精神力の強さに敬意を表します。

幸い私はこの年まで大病どころか入院したこともありませんし、半年に一度の健康診断の数値も全て正常であります。しかし、この世で死なない人間がいないのと同じでやがては私も体が弱り病も患うでしょう、実感は全くないですが、、、。
私もめっきり痛みに弱く病院も大の苦手であります。妻は「貴方みたいなタイプは病気になったら人の何倍も落ち込み弱音を吐く」と断言しております。自分でも予期せぬ病の宣告には慌てふためき心を乱すだろうなと自負しております。

その時は、この治療記を思い出し「人生の先輩も通った道じゃないか」と自分に言い聞かせたく思います。そう言った意味では、今回バルクキャリアーさまが襟を開いて書き綴った治療記の公開は「病気の怖さを知らない後進へ勇気を与える尊い行為」と強く思った次第であります。

M・Yさま

コメントありがとうございます。しかし私には精神力などまるでありません。手術をしても前のように走りたい、早く旨いビールが飲みたいの一心でした。ただ私もこれまで大きな病や入院の経験はなく、正直に言って術前はとても怖かったのが事実です。「あるがままま」に苦しみを受け止めようと思いつつも、もがいていたというのが実態でした。

今回こんな病気・手術をシリーズでアップする事について、どうなのか悩みました。しかし記憶は時と共に薄れます。将来、あの時はこんなことがあった、こうやって乗り超えたという自分の日記として、またもし同病の人の目にこれが目に留まれば、おこがましいですが何がしかの参考になるかもしれないと考えて綴りました。病気になると健康で一日一日を過ごせることが、どれほど大切なことかがわかります。M・Yさまも健康に留意してご活躍下さい。

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