日本のメディアの軽薄なトランプ叩き
どうしてしまったのだろう読売新聞は。本来は穏健な中立右派のはずだったのがどうも最近の論調がおかしい。我が菅政権に対しても冷ややかだが、特に気になるのが米・トランプ政権に対する極めて否定的な紙面作りである。先日起こった過激な支持者(と云われる集団)の議会への突入あたりから、特にトランプ批判が強くなったようだが、あの暴力的な集団が本当にトランプ氏の擁護派だったのかはまだ分かっていない。大統領選に僅差で敗れたとはいえ(本当の得票数はいまだに謎のままだが)、わかっているだけでも全米の市民から7000万票もの支持を集めたトランプ氏である。武漢ウイルスが米国内で猖獗を極めなければ、多分彼が大統領選挙に勝利していたとも言われている。こうした中でトランプ降ろしに狂奔したアメリカの多くのマスメディアの尻馬に乗り、一方的にトランプ叩きに乗るような読売の紙面がどうにも浅薄に見える。
「トランプ政権・『負の遺産』はあまりにも大きい」とする昨日(1月20日)の読売新聞の社説を読んでみよう。「国際秩序と民主主義は、この4年で深く傷ついた」として、中国に対する「制裁関税による圧力は保護主義の拡散を生んだ」「中国の力の増大を踏まえれば、同盟国と連携して対処するのが筋である。それにもかかわらず…同盟国への極端な防衛負担増要求と海外駐留米軍の削減に動いた」「トランプ氏は世界保健機関(WHO)からの脱退表明などで、国際的な枠組みも否定した」「専門家を軽視し、直言する高官を次々に更迭した独善的なスタイル」「移民への敵意や人種間対立を煽ったトランプ氏」とさんざんである。
しかし武漢ウイルスで混乱するまで、トランプ氏の在任中に米国の経済は順調、失業者が減り雇用も拡大してきたのは事実である。また強いアメリカを取り戻すと彼は公言してきたが、結局その在任4年間に米国は世界のどこでも一つも戦争を起こさなかった「最も平和的な大統領」でもあった。中国べったりだったWHO脱退だけでなく、どうにも胡散臭い利権と怪しげな仮説からなる温室ガス排出規制のパリ協定から離脱したことにも拍手を送られて良いだろう。覇権主義をますます露わにする中国に対し、他の政権だったら様々な思惑に縛られなかなか実行が難しかったであろうなか、いとも簡単に次々制裁を繰り出したその手腕は大いに評価されよう。なにより欧州諸国や韓国と異なり、日本と米国の関係は大変良好に保たれてきたことは日本国内でもっと評価されてしかるべきだ。
自らの責任を棚上げするかの「国際協調主義」「国連至上主義」などという言い訳に逃げつつ、下らないポリティカル・コレクトネスに各国の指導者が汲々とする中、自らの信じる処に従い米国を再生させる行動をトランプ氏は率先躬行した。幾つかの奇矯な言動があったとしても、こうしてみると彼の業績は云われるほど酷いものではなかっただろう。彼が去ることで誰が一番得をするのか、世界のメディアがなぜそれほどトランプ氏を嫌うのかなどを考えると、巷間流布するディープステート論もあながちトンデモ説の類ではない、と思えてくる。中国べったりと云われたバイデン大統領で、中国の軍備拡大や人権弾圧、不正取引に本当に対抗できるのか。台湾はどうなるか。新政権の副大統領カラマ・ハリスの後ろに控える急進左派がこれから米国政治にどう関わるのか。「分断克服に決意」とメディアがバイデン氏を持ち上げてはしゃぐほど、大きな期待に包まれて2009年にわが国で誕生した、悪夢の民主党政権とこの新政権の末路が重なっていくように私には見えるのである。
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バルクキャリアーさま
読売新聞までもがトランプ悪の偏向報道ですか。中共に真に対峙したトランプ大統領の退任(7000万票超も獲得して負けたとは信じられません)に伴って、取り敢えずは長い物(中国共産党)には巻かれろの精神でしょうか、誠に情けない。
本文で余すことなく述べられている通りトランプの功績(特に戦争を起こさなかった点)は大きく近年稀に見る有能な大統領だったと私は思います。
先の連邦議事堂への襲撃も中共と結託したディープステートの自作自演でしょうね。バルクキャリアーさまのご指摘通り、誰が一番得するかと思いを馳せれば全ては一目瞭然だと思うのですが、、、、、。
メディア報道を付和雷同的に信じる人にはディープステートなんて単なる陰謀論と一蹴されそうですが、中共の傀儡としか思えないバイデン新政権の誕生でこれまで以上に中共は好き放題にやってくるのかと思うと日本は大丈夫かと暗澹たる気持ちであります。
投稿: M・Y | 2021年1月21日 (木) 22時39分
M・Yさま
ここ数ヶ月の読売新聞は一体どうしたのかと驚いています。
読売は経営難の毎日新聞と合併するという噂が飛び交っていますが、合併前に相手に合わせてのまさかの急左旋回でしょうか。
共産主義やユダヤ資本による新自由主義、ポリティカルコレクトネスやリベラリズムは根が一つで、世界を一つの価値観に染めて伝統的価値の崩壊を目論んでいるという陰謀論が盛んに語られます。真偽のほどは別にして、これらの動きに真正面からぶつかり、中西部の非エリート白人、いわゆる建国の祖の子孫たちの本音、伝統的アメリカ社会を代弁したのがトランプでした。
毀誉褒貶あい半ばする大統領ですが、読売が一方的にけなす程の悪い人物だったのか。なにより7000万人以上の米国人から支持があり、日本にはほとんど悪影響がなかった人を、これほど一方的に悪しざまにいうセンスが理解できません。
新聞各社は購読者の激減でどこも経営難。M・Yさんご指摘のとおり読売もやはり中共の金で論調が影響されているのかと疑います。
投稿: バルクキャリアー | 2021年1月22日 (金) 00時12分