中国海警法が明日から施行・トランプ氏をけなしバイデン新政権を礼賛している場合か
茂木外相とバイデン政権のブリンケン国務長官との初電話会談で、またぞろ尖閣諸島は日米安全保障条約の適用内であることが確認されたとの報道が為された。日本はアメリカの大統領が代わると毎度この問題で新政権の保証を求めているが、恒例の報道を聞くたびに、如何にわが国が米国の保護国家であるかがわかって不愉快になる。「大丈夫ですか?本当に尖閣を守ってくれますよね?約束はたがえませんよね、本当ですよね?」と親分が変わるたびに疑心暗鬼となり、強迫観念の如く三下奴が親分の庇護を再確認しているようだ。日本は安全保障に関しては、正に幼児のような国家である。それほど心配であるのなら、少なくとも尖閣防衛に関して中共に対抗できる防衛力を整備し、日本人が断固戦う姿勢を見せることがまず必要であるにも拘わらず、毎度変わらずアメリカを前面に押し出し「アメリカさん、守って下さい」と見える卑屈な政府の態度に呆れてしまう。
いくら日米安保の適用範囲内と米国が言っても、尖閣諸島に日本の施政権があり、ここを実効支配していなければアメリカが助けてくれるかどうかは不明である。アメリカは領有権の論争には関与しないし、対中国強硬策はバイデン政権となってどう変わるかはまったく予断を許さない。おりしも中共は公船の武器使用を認める海警法を改定し、明日よりこれを施行すると云う。対する我が海上保安庁は外国の軍艦や政府公船には武器は使わないと自己規制ルールで縛られているのだから何とも情けない。尖閣の実効支配を内外に示そうと、中国海警やその後ろに控える中国海軍が実際に火器を使用する日も近いことだろうが、そういう事態になり初めて日本人は自衛のために武器を取らねばならないことに気がつくのだろうか。私も2012年に石原都知事が創設した東京都尖閣諸島寄付金に1万円を寄付「尖閣諸島寄付金を払う(2012年5月16日)」したままだが、14億円も集まったこの基金はまだ金庫の中にあるそうだ。尖閣諸島のニュースに触れる度に、この基金の有効利用を願いつつ、アメリカにすがるばかりで手を打たない我が国の安全保障政策に暗澹たる気持ちになる。
案の定、バイデン新政権のサキ大統領報道官が、中国に対して米国は「戦略的忍耐」が必要との見解を表明した。「戦略的忍耐」とはオバマ元政権の対北朝鮮政策のキーワードで、北朝鮮が非核化に向けた具体的な取り組みに動くまで交渉に応じない待ちの姿勢を意味したが、結局これは北朝鮮に核開発を進展させる時間を与えるだけに終わった最悪の愚策であった。中国にズブズブの関係と云われたバイデン氏が率いる政権がいま持ち出す「戦略的忍耐」というワードはいったい何を意味するのか。トランプ氏の対中国に対する一方的な強行策と反対に、早くも対中融和へ進まんとするバイデン政権の弱気の本音がぽろっと出たのではないかとも解釈できる。米国の著名な戦略家ルトワック氏は月刊HANADA3月号「未来の鍵を握る日本の戦略」で、バイデン新政権の気候変動問題の大統領特使になるジョン・ケリー元国務長官は、環境対策の見返りに尖閣をよこせという中国の取引に応じる恐れもあると警告を発している。世界の分断を招いたトランプに対し、融和をはかるバイデンなどと単純に持ち上げる日本メディアだが、この新政権が本当に日本の後ろ盾となり尖閣の安全保障を全うしてくれるのか甚だ疑問だ。日本はいかなる中共の覇権主義と軍拡に、まずは自力で立ち向かう覚悟が必要ではないか。
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