« 2020年の年末(武漢ウイルスの一年) | トップページ | 第97回箱根駅伝 関東学生連合・杉浦君 »

2020年12月31日 (木)

半日鉄道プチ旅行・相模鉄道・JR直通列車

20201231_12000
終点・新宿で折り返す海老名行き 相鉄12000系(新宿からJR線内は各駅停車扱い)


年の暮れだが今年は特に何の予定もない。こんな時にはまた一人で知らない鉄道に乗ってみようかと呟くと、妻は早く行ってらっしゃいよと大賛成の様子。「小人閑居して不善を為す」の夫が手伝いもせずに家でゴロゴロしていると年末の大掃除の邪魔らしい。それならばと昨日は開通してちょうど一年になる相模鉄道・JR線直通列車に乗りに行ってみた。相鉄というと神奈川県民の足という感じで都民にはあまり馴染みがない路線である。この機会にふだん縁のない相鉄線を経験し、併せ神奈川の県央から都内に直通する新規ルートの試乗をしてみようと思い立ったのだ。


と云うことで昨日の昼下がりの新宿発、小田急線の小田原行き快速急行でまずは海老名へ向かった。新宿から海老名までの40キロ余りを40数分間、いつも混んでいる小田急線も年末のためか外出自粛の掛け声のためか、車内はがらがらである。例によってかぶりつきに陣取れば、登戸までの複々線区間に続き多摩丘陵から相模原と伸びる線路は、ロングレールで道床も良く整備され、聞こえるのは運転士の指さし喚呼の声と風切り音だけという快適さ。前を見ているうちにあっという間に海老名に着いた。ここ海老名は相鉄線の始発駅で、近代的な小田急・海老名駅をおりて相鉄線のホームに立つと、乗降客が少ない上に駅が改造工事中でちょっと侘しい感じだ。


とは云うものの、相模鉄道は海老名から横浜駅まで25キロの本線と途中駅・二俣川(ふたまたがわ)から分岐するいずみ野線など合わせ40キロの路線を有し、通勤客輸送のために20米4扉の大型車で最大10両編成が走る今では堂々の大手民鉄路線である。この相鉄は横浜駅方面の混雑緩和と悲願の都心乗りれのために、本線途中の西谷(にしや)からトンネルを掘りJR貨物の羽沢貨物駅付近でJR線に乗り入れ、東海道貨物線~山手貨物線を経由して新宿までの都心に直通するルートをちょうど一年前に開通させた。さらに2022年度には西谷から東急東横線の日吉までトンネルで結び、東急目黒線経由で都営地下鉄・三田線やメトロ・南北線まで列車を直通するのだというから、いまや神奈川県民だけではなく首都圏の鉄道マニアに注目される私鉄だといえよう。


海老名駅のホームで時刻表を確かめると、年末年始は休日ダイヤで海老名発の新宿行き特急は一時間に2本しかなく、折悪しくちょうど出て行ったばかりだった。次の新宿行きまで30分もあるので、折り返しでホームに停車中の各駅停車に乗り、変貌中の相鉄線をじっくり見つつ二俣川(ふたまたがわ)で後続の特急を待ち合わせることにした。乗車した各駅停車の電車は8000系電車で、がらがらの車内でセミクロスシートを独占できるのが何とも気持ち良いのだが、走り出すと床下からは、油切れのギアが噛むかのような爆音が響いてくる。二俣川で特急の待ち時間に次々とやってくる相鉄車両を観察したところ台車の2つの車軸間の距離が長く、台車枠の外にディスクブレーキがついている変わった構造のものが多い。帰宅後に調べてみると相鉄線の在来車両は、直角カルダン駆動と云ってモーターが線路に平行に架装された今では珍しい台車ゆえの轟音と分かったが、乗ってみなければわからない事は多いものだ(現在の鉄道車両はほとんどが平行カルダン)。


二俣川から乗った特急新宿行き12000系はJR線乗り入れ用の新造車両で、こちらは平行カルダンになっているが、車両前面にはラジエーターグリルのような格子柄があって電車というより大型トラックのような顔つきである。相鉄の技術陣やデザイナーは他の鉄道とは一味違うものを目指す、という自負でもあるのだろうか。電車は羽沢から本来は貨物線用の港北トンネルと生見尾トンネルを経由して鶴見に至り、新川崎の貨物ターミナルを通過したのち、旧品鶴線(現在横須賀線などに使用)を通って蛇窪信号所から山手貨物線(埼京線)の大崎駅に乗り入れる。二俣川から新宿まで45分ほど、前方を見ているとこれまで何度か”貨物線の旅”で通った珍しい行程が多く、”かぶりつきファン”にとっては絶好のルートだと云えよう。トンネル続きで運転士の真後ろの大窓のブラインドが降ろされる区間も、空いた車内で前に立つ人もない側窓から前面展望をゆっくりと楽しめた。それにしても相鉄の車両が埼京線の線路を走る光景にはまだ目にしっくりこない。いずれ相鉄が東急線に乗り入れて、西武や東武の車両とネービーブルーの相鉄の車両が並んだらどんな気持ちになるだろうか。こうして家を出てから帰るまで4時間弱、料金も2000円もしない大人の遊びであった。


羽沢横浜国大駅 外側2線がJR線に接続する線路、トンネルに向かう内側2線は2022年度開通予定の東横線・日吉に通じる線路
20201231_

原宿付近の埼京線を走る相鉄車両(相鉄が原宿とは何とも奇異に感じる)
20201231

« 2020年の年末(武漢ウイルスの一年) | トップページ | 第97回箱根駅伝 関東学生連合・杉浦君 »

鉄道」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 2020年の年末(武漢ウイルスの一年) | トップページ | 第97回箱根駅伝 関東学生連合・杉浦君 »

フォト
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ