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2020年9月17日 (木)

岸 信夫・防衛大臣との苦い思い出

菅 義偉 新内閣に岸 信夫氏が防衛大臣として入閣した。懐かしい顔を久しぶりに見た気がする。岸 信夫氏が慶応義塾を出て新入社員で入ったのは、住友商事の穀物部である。私が海運会社で一般バラ積み貨物船営業の管理職だった1980年代後半から1990年代に、岸氏は住商穀物部で麦や米の輸入責任者として第一線でバリバリ活躍しており、彼とは何回か直接会って商談をしたことがある。自民党の幹事長や外務大臣を経験した安倍晋太郎氏の息子だという事は知っていたが、当時の彼はまだ30代で、切れ者だった印象はあるも尊大な素振りはまったくみせず、当初は私のような取引先にはごく温厚な好青年だったと云う印象が残っている。


さて、従前「一粒とも米は輸入しない」としていた日本も、1993年冷夏による米騒動に端を発した問題などから、1995年に米のミニマム輸入枠(ミニマム・アクセス)を設定し、カリフォルニアや豪州・タイ・中国から食料米を輸入する政策に方針を転換した。これにより農水省の行政機関だった食料庁の監督のもとに大手商社数社が輸入実務を担当することになったのだが、主食である米の本格的輸入は画期的なことであり、国内の農家や農協の圧力を前に輸入米の取り扱いはきわめてデリケートな問題でもあった。またミニマムアクセス米は予算で裏打ちされた数量と価格、さらに主食の輸入という政治的な観点から、当初は限られた商社が納入業者として認められ住友商事もその中の一社であった。


しかし自由競争の世の中ゆえ時の経過と共に次第に米輸入に参入しようとする商社も増えてくる。新規参入商社とそれに結びついた海運会社が、限られた数量のミニマムアクセス米に商機を求めて殺到するのは世の常である。当時は私も若かった。次々と新規に参入を企図する商社からの船舶引合いに応じるうち、図らずもその頃あった業界の秩序を完全に無視して業容を大幅拡大する事態になっていた。既に米輸入に従事していた大手の商社からは「暴れるな」と私に幾たびか警告が聞こえてきたし、会社の上層部からは商権を伸ばせと云われていたにも拘わらず 「 おまえは何を無茶苦茶しているのだ!」 と後ろから鉄砲も撃たれた。


それらをいっさい無視して営業活動に励むうち、既存組大手の住友商事の岸氏から、とうとう「あなたは住商にお出入り禁止」と宣言されてしまった。以後、一般貨物船を扱う我が部署は住友商事との商談が一切できなくなり、しばしば運んでいた同社の穀物輸送もなくなったが、当時は「まあ他にも商社はいくらでもあるさ」とさして気にも留めなかった。そのうちこちらが関連会社へ出向した後は、会社は住商とも仲直りをしたようでまずは一安心であったが、彼の顔がテレビに出る度に「お出禁」事件をどうしても思い出してしまう。人づてに聞くと、岸氏は「あいつ(私のこと)は見たくもない」と当時言っていたそうである。いまや閣僚となった向こうはまったく覚えていないだろうが、私にしてみれば半沢直樹の十分の一くらいの血気で突っ走り、のちの大臣にあれほど嫌われたあの時代が妙に懐かしい。時も過ぎ今やノーサイド、がんばれ岸 新大臣!

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コメント

バルクキャリアーさま

時の人である防衛大臣と思い出があるとは凄い縁ですね。安倍前首相は日本国の為になるとの信念をもって憲法改正に取り組みましたが、その強い思いには祖父である岸信介元首相の遺志も念頭にあったに違いありません。同じ血を引き継ぐ実弟である岸信夫防衛大臣に私は強く期待したいのです。
中国、米国に対しても絶妙なる人事だと思いました。李登輝元総統の告別式に米国は現役のクラック国務次官を派遣しましたが、日本は岸防衛大臣を参列させたら痛快だったのですが、、、、さすがにこれは無理ですか(笑)
それにしてもこの記事はバルクキャリアーさまの現役バリバリの頃のブレない仕事ぶりが伝わってきますね。このブログと同じく信念をもってブレずに取り組む姿勢にリスペクト致します。岸防衛大臣だってこの当時のことは必ずや覚えているでしょう、何故なら互いに情熱を注ぎ真剣に取り組んだか仕事だったから。この「お出禁」は「勲章」であると私は思います。
さて、金曜に名古屋で打ち合わせがあり大いに盛り上がり居心地が良いのでそのまま滞在しておりますが、この近辺の三セクの鉄印でも集めに行くとします。

M・Yさま

昨日は那須まで日帰りでドライブをして来ました。久々に高速道路の渋滞もあり、人出がかなり戻ってきたと現地の観光関連の人々は喜んでいました。これで感染の揺り戻しが来れば、メディアはまた批難の嵐を行政にぶつけるのでしょうが、そろそろこの騒動は終わりにして、「感染者〇〇人」などという恐怖を煽る報道はやめにしてほしいところです。

ところで40代のころの若気の至りによるさまざな行動も、けっきょく出世には結びつかなかったのは自分の未熟さゆえの結果でした。ただ自分のやっていることは、正しいことだと信じるままに行動したことへの自負の念は今も残っています。半沢直樹がなぜあれほど視聴率が高いのかというと、サラリーマンなら誰もが感じる組織や業界の論理と己の正義が反した際の葛藤を、主人公が明快に突破してくれる点にあるのではないでしょうか。サラリーマンのフラストレーションやうっぷんを明瞭にはらしてくれるのが人気の秘密だと思います。ただ最終回には、彼がハッピーエンドで終わるのかどうか?

岸氏は中共も真っ青のバリバリのプロ台湾派だそうですね。そのような人材が防衛大臣ということで、これからがちょっと楽しみです。

名古屋の三セク鉄道はいかがでしたか。旅をいいものですね。


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