真夏の早慶戦
猛暑が続いている先週末は、退院直後でまだ無理もできず、冷房の効いた部屋でNHK BSで実況放送された東京六大学野球リーグの早慶戦を見ていた。東京六大学野球の春季リーグは、例年なら4月初旬から5月末までの8週間、風薫る季節に戦われるが、今年は武漢ウイルス騒動で8月10日からと真夏の開催である。それも同一カードで先に2勝した方が勝ち点を得る勝ち点制ではなく、今季に限り一回戦総当たりで、延長になればタイ・ブレークで決めるという変則的な方式である。また従来は成績に拘わらず早慶戦はリーグの最終週に行われるものも、途中の第六週目に対戦する日程となっている。
東京六大学野球で早慶戦を最後に行うのは、リーグの発祥が早稲田大学 対 慶応義塾の対校戦に他の4校が加わったという歴史的経緯によるのだが、今年の事態では伝統を変更するのもやむを得ないところだろう。このようなごたごたは大東亜戦争中の昭和18年の連盟解散、あるいは戦後昭和21年の一回戦総当たり時代以来との事だが、全国の他の大学野球リーグ戦がウイルス禍で開催できない中にあって、東京六大学野球連盟だけが天皇杯をかけて戦えるのは何とも名誉なことである。またこの早慶戦がNHKによって全国に放送されるのは、早慶両校選手には大変な喜びだと云えよう。
試合は今年のプロ・ドラフトで上位指名が予想される早稲田の早川投手(4年・木更津総合)対 慶応打線の勝負とみられていたなか、慶応の一発攻勢と堀井新監督の冴えわたった選手起用で慶応がリード。早稲田も粘って9回2死から追いつき3対3の同点でタイ・ブレークによる延長戦に入る見ごたえある熱戦となった。まさか東京六大学野球でタイブレーク方式の延長戦を見るとは予想だにしたこともなかったが、無死1塁2塁からの攻撃方法、先攻・後攻による戦術の違いなど、画面を通じて初めて見る攻防も興味深かった。結果、5対3で塾が早稲田にせり勝ち、ビールがまだ飲めない体なのでコーラで祝杯。
それにしても今季は学生応援席のない真夏の神宮球場スタンドである。応援団・ブラバンによる声援や演奏、エールの交換など、六大学野球をそうあらしめる伝統のお約束プロトコルが画面から聞こえないのが何か気の抜けたビールを飲んでいるようだった。選手の息づかいが伝わってきそうな静かなテレビ音声を聞いていると、チャンスパターンの応援や耳になじんだ各校の多くの応援歌、ラッパや太鼓の響きが東京六大学野球リーグ戦の重要な構成要素だとあらためて認識できたのだった。どうか秋には元の伝統の形式に戻って、ふつうのリーグ戦が開催できる状況になってほしいものだ。
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コメント
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バルクキャリアーさま、こんにちは。
終戦の日、早慶戦延長タイ・ブレークは、本当に熱戦の好ゲームでしたね。
また、両監督の采配の差が如実に出たと思いました。早稲田の小宮山監督は10回裏のランナー1,2塁からの攻撃があるにも関わらず外野を前進守備させ1点もやらないごとくの疑問の守備シフト、一方慶應の堀井監督はランナー2,3塁となるやいなや、ここは勝負と判断しカウント1-1から代打の代打を投入。
本来レギュラーの橋本君がベンチスタートにも関わらず腐らずしっかり準備している姿勢を評価しての代打指名、そして2ストライクと追い込められながらも信頼してくれた監督の意気に応え前進守備のセンターを軽々超える2点タイムリー、その裏の1死満塁のピンチも好救援で会心の勝利。
さぞかし祝杯のビールもとい「コーラ」が旨かったことでしょう(笑)
他方、明治は何と東大との全敗同士の最下位決定戦。
最近は東大も侮れないとはいえ、選手層も全くの段違いですし45連敗中の東大に負け、この歴史的2020年に全敗最下位となると責任問題を飛び越えてある種の事件、よもや負けることはないと思いながらも一発勝負だしと冷や冷やしながら那覇空港のANAラウンジで明大応援団公式ツイッターをチラ見、初回5点先制を確認、何故かしら格別に旨く感じたオリオンビールでした(笑)
投稿: M・Y | 2020年8月20日 (木) 12時10分
M・Y様
那覇空港のANAラウンジ、民間機のほか自衛隊の軍用機の離着陸も見ながらのビールはさぞ旨かったことでしょう。
ご指摘のとおりタイ・ブレークでの小宮山監督の前進守備は???と思って私も画面を見ていました。慶応の橋本君はたしか昨秋の明治戦でも、代打で出て前進守備のセンターを超える勝ち越し長打を打ってヒーローになっていました。昨秋の活躍を彷彿とさせる早慶戦での彼の活躍でしたね。
明治は僅かの差で勢いにのれず、ずるずると4連敗したのは残念でした。戦力的には充実しているのだから新監督の下、秋には立て直してくるでしょう。
それにしても応援のない六大学野球は「クリープのないコーヒー」のようですね。六大学では明治と法政の応援が私は好きです。明治は校歌はもとより「血潮は燃える」をはじめとする応援歌がバンカラで男っぽくてよいですね。特に6回(でしたっけ)の攻撃時に歌う「都に匂う花の雲」を聞くたび、ああ明治だな、試合も後半だなと条件反射のような感慨にとらわれます。
秋のリーグ戦も勝ち点制ではなく各カード2試合づつの総当たりとなったようですが、早く元の神宮球場の風景に戻ってほしいと心から願っています。
投稿: バルクキャリアー | 2020年8月20日 (木) 16時00分