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2020年6月27日 (土)

ゼロリスク神話を求める人たち

今日は3カ月に一度の歯医者の定期健診に行ってきた。顔なじみの先生に「武漢ウイルス騒動で大変でしたね」と言うと、「そうなんです、入口で検温することになって『コロナ対策のため検温お願いします』と言った途端、いきなりきびすを返して帰っちゃた方もいましてね。その患者さんは2か月ほど外出も控えていたそうで、よほどウイルスに神経質になっていたみたいですね」と先生は苦笑いをしていた。そう云えば「久しぶりに飲もうか」とラインで聞いたら、「3月からは数回クルマで外出しただけで今はまだ電車での外出はダメ」と返事を送ってきた知人もいた。いやはや、リスクゼロを求め日常生活に戻らない人が周囲にまだいる事に驚くばかりである。災難は忘れた頃にやって来るではないが、武漢ウイルスに100%の神経を注いでも、明日は豪雨か雷が我々を襲うかもしれないし、地震がおき火山が噴火するかもしれない。事故や病気も含めていつ災難が襲ってくるのか人生はわからない。そういう不条理の世界に我々は生きているのに、ウイルスなど何か特別に自分の気になる事だけを取り上げ、そればかりに各段の注意を払う人々の行動は神経症的とも思える。「絶対の安全」や「絶対の安心」などは世界のどこにも存在しない。


リスク・ゼロに関していえば、月間"HANADA"最新8月号の巻頭にジャーナリスト有本香氏が「イージス・アショア」の突然の配備計画停止についてこんな文章を載せていた。発射されたミサイルの部品が安全確実な場所に落下するのが難しいので、配備計画を停止するという防衛相の発言に「核弾頭が搭載され、一発で何十万もの日本国民を殺傷させるミサイルが飛んで来るかもしれない非常時に、それを撃ち落とす部品の落ちどころが心配だから配備しない?」「(小池都知事の馬鹿げたパフォーマンスだった)豊洲の地下六メートルの地下水じゃあるまいし、ゼロリスクを求めるあまり、巨大なリスクや損失を防げないということか。こんなバカな話がまかり通るのは、世界広しと言えども日本だけに違いない」として、彼女は「ゼロリスク詭道」(人をあざむくようなやり方、正しくない手段・広辞苑)に警告を鳴らしている。


原発反対運動でもそうだが、有本氏が指摘する如くいま日本で蔓延するゼロリスク神話を見ると本当に日本はこれで良いのかと心配になる。都知事選でも都内上空を通過する羽田空港の新進入方式に反対するサヨク候補がいる。事故や航空機からの落下物の危険を訴えているようだが空の利便性が新ルートで大きく拡大することに比べれば、ごくごくまれにしかおきない事故の可能性のみを取り上げるのもゼロリスク病で神経症的な態度といえる。リスクゼロ病と似た現象で、自然をごく少しでも毀損しかねないプロジェクトは推進してはならないという風潮も気になる。今日の読売新聞朝刊には、静岡県知事が大井川水系に影響を与えるかもしぬ、という理由で2027年に開業予定のリニア新幹線の工事着工を認めないとある。今では地下の導水路導入などで水量の調整などはかなりコントロールできる時代である。新幹線の工事とともに水利の調査も進めればよいと思うが、完全に影響がないと分かるまでは何も手を付けさせないというのも小児病的態度と云えよう。ことほどさようにリスクゼロを求めて多くの施策の実行が困難になるという状況なら、日本は「遅れた20年」にとどまらず、この先進歩を忘れ世界に取り残される時代になるのではと大いに危惧する。

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