戻ってきた 飛鳥Ⅱ
これから錆落としをするのか8・9デッキバルコニー
新聞を読んでもテレビを見ても武漢ウイルスの話ばかりでウンザリの毎日。いつも一面からじっくり読む新聞もウイルスの記事だらけで、いまは新刊本の広告、書評や料理の欄などしか読む気がしない。新聞で唯一面白いのは「人生相談」(読売は「人生案内」)で、寄せられた悩みに対する識者のコメントを、妻と二人で「俺ならこうする」「私はこう思う」とあれやこれや日々論じている。しかしこの季節の愉しみ、神宮球場での六大学野球観戦や後輩の陸上の試合応援も今春は順延、各種コンサートは中止の上、図書館も閉鎖となってまことに意気が上がらない。空いた時間はジョギングにあてるが、さすがに最近は毎日10キロ近く走ると疲労を感じ、「今日はお休み」などと宣言する日もある。これが年齢相応ということであろうか。
「外出するな」ではあるものの、人と会わずに外気に触れるのは推奨されているから、こんな週末はドライブを楽しむ事にする。3リッター・ツインターボでリッター当たり8キロくらいしか走らない愛車も、この時期ガソリンが安くなっており、気軽に遠出できるというものだ。昨日はシンガポールのドックで改装工事を施し、母港・横浜港で停泊中の飛鳥Ⅱの外観を見に行くことにした。武漢ウイルスなかりせば、今頃飛鳥Ⅱは世界一周クルーズの序盤で4月10日にシンガポールを出港、インドのゴアに向けマラッカ海峡を北上中のはずであった。乗船予定だったこのクルーズが催行されていれば、今日は太陽光線を真上から受け「影のなくなる日」を味わっていただろうなどと、死んだ子の年を数えるようなことをしていたら無性に改装後の本船の雄姿を眺めたくなったのである。
横浜港の大さん橋は屋内のホールが閉鎖されているものの、名物の「くじらの背中」と呼ばれる板張りの送迎デッキはオープンしていた。駐車場にクルマをとめいつも通り出船・右舷付けにされた飛鳥Ⅱを眼前にすると、昨年11月「ウイーンスタイルクルーズ」から下船する時「次に来るときは世界一周だ」と胸を膨らませてボーディングブリッジを歩いた事が遠い過去のような気がしてきた。送迎デッキの向こうの本船では、おりしも7階プロムナードデッキの上で顔見知りのボースンの下、セイラー達がハンドレールのカンカン(錆落とし)の作業の真っ最中であった。老齢となった本船もドックで化粧直しが施されてまた美人になったが、どこもここも錆落とししたのでなく、望遠鏡で見る9階や8階のバルコニーにはまだ赤さびが見える。ただバルコニーの窓ガラスには養生がなされており、これからクルーハンドでカンカンをして、運行再開までに真っ白になってくることだろう。
ファンネルの中に聳える排気管の中には真新しいステンレス生地が太陽光線に反射しているものもあり、この下に排ガス規制対策のスクラバーが設置されたと思われる。ウインブルドンコートの跡に造られた露天風呂はその覆いがひときわ目を引くが、以前から思っていた通り、橋の上などからは風呂が丸見えになるように思えて実際どうなのか気になる。こうして桟橋から目の前に飛鳥Ⅱを眺めていると、船内に足を踏み入れられないことが何とももどかしく、一刻も早くこの武漢ウイルス騒動が収束してくれることを望むばかりだ。じきに乗ってやるから待ってろ飛鳥Ⅱだ。ただ都内から大さん橋まで道はどこもガラガラ、帰路は横浜市内・都内とも2か所しか赤信号に捕まらず、首都高はクルーズコントロールを80キロに設定すると前後が詰まることがない。こんなすいている道路も滅多にないから、この騒動もドライブには良いかと気を取り直したのだった。
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