年寄りの冷や水スキー
週末は磐梯山にあるスキー場に行ってきた。なんと15年ぶりのスキーで、”老いてますます盛ん”の意地をみせようかと親戚たち若者ツアーに同行である。といっても以前アップした(けつ面着陸2010年1月25日)ように、久々にスケートでいい恰好を見せようとリンクに飛び出したら、いきなり派手にお尻から転んだ苦い思い出がある。スキーで怪我などすれば”年寄りの冷や水”と笑われそうだから、まずは安全第一の心持ちでツアー参加だ。まあ今のスキーは手ぶらで行っても立派な板にストック・ブーツ、ウエアやゴーグルまで一式レンタルが利用できるので気楽なものだ。かつて2メートルあまりの重いスキー板をかついで列車に並ぶか、さもなくばレンタルだとカンダハの留め具によれよれの板で苦労したが、今は便利なスキー旅行で隔世の感がする。
さてゲレンデに到着し一式借りた用具を装着すると、若者たちはさっさと山の上目がけリフトに乗って行ってしまったが、こちらはさすがに15年ぶりとあってまずは足慣らし。筋肉は若い頃に較べればかなり細くなっているしスピード感も鈍っているから、怪我をしないように、しばらく平地で一人歩きの練習、そのあと初級者用リフトの緩斜面で感を取り戻すことにした。ところが暖冬の今年、山は雪が少なく一番下の初心者向けゲレンデがクローズされ、最も短いリフトに乗ってもいきなり長さ1キロあまりある初~中級者向きのコースに行ってしまう。やってきた初中級者コースも湿雪の凸凹の上に初心者やスノーボーダーたちで大混雑とあって、スタートに一瞬躊躇したが、まあ何とかなるだろうとこわごわ一本目を滑り出す。
さすがにその程度のゲレンデでは転ぶこともなく「スケートよりスキーの方が忘れないものだ」などとちょっと自信を取り戻しつつ、徐々に山頂へ向かう長いリフトにも乗ることにした。幸い天気も良く、一人、リフトの揺れと「ゴトン、ゴトン、ゴトン」という響きに身をまかせると、若いころ一緒に滑ったあの女の子たちも今はみな婆さんになったんだろうなあ、等とあれこれスキーの思い出が脳裏によみがえってくる。コースも上に行くにつれ立ち並ぶ樹木には雪が白く積り、目の前に猪苗代湖が朝の日の光を反射して美しく広がり、自然に「♬や~まは白銀」と歌が口をついて出てくる。ということで午前中は一度も転ぶことなく、気持ちよく15年ぶりのスキーを満喫し仲間との集合場所である昼食会場に降りていった。
さて、まあ何とか滑れるとすっかり気の大きくなった私である。午後は若者たちと中上級コースにチャレンジすることにした。山の上からいくつかの急コースを滑って降りるのだが好事魔多し、やはり過信はいけなかった。中上級の狭く急な斜面に途中から筋肉ががくがくし膝が笑いだして力が入らない。この日初めて転ぶと体はひっくり返ったまま斜面をいつまでも転げ落ちて止まれず、これは急なコースに来てしまった、とちょっと弱気になるが、とにかくスキーは泣いても一人で滑って下まで降りねばならない。雪質はカチカチだし昼までの余裕のよっちゃんも、午後は体が動かない介護老人である。あっちでスッテン、コッチでスっテンのありさまで、見ていた高校生の姪には「おじちゃま、なんでもない所でころんでるよ、ぎゃはは!」と大笑いされる始末。幸い怪我もせず帰ってこれたが、今日はあちこち体中が筋肉痛でたまらない。それでも急斜面を無心で滑り降りる心地良さを思い出しては、次はもう少し慣れるだろうからまた時々スキーに行こうかと性懲りもなく考える今日である。
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