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2020年1月25日 (土)

シニアの鉄道趣味

20200123

最近、鉄道への興味が復活してきた。子供の頃あれだけ好きだった鉄道である。当時、入場券で東京駅の14番線・15番線に通って東海道本線を下る優等列車の入線に心をときめかせ、自転車で遠征しては小田急線や品鶴線の列車の写真を撮ったものだった。家ではHOゲージの線路を広げ、その頃2冊しかなかった月刊誌「鉄道ファン」か「鉄道ピクトリアル」のどちらかを小遣いをためては買っていた。長ずるに連れ鉄道への興味も失せ、いつしか移動手段としてしか捉えられなくなっていたが、最近ゆっくりできる時間が増えたのか、はたまた人生の退行期なのか鉄道雑誌をまた買うようになった。

 

雑誌をパラパラとめくりつつ、なぜ多くの人たち、最近は女性も、鉄道の趣味に魅了されるのか考えてみた。ということで例えば老舗の鉄道本「鉄道ジャーナル」3月号を読むと、その3割ほどが特集「列車の旅を愉しむ」で、九州の豪華列車「ななつ星」などの乗車記のほか、海外の鉄道紹介記事もあり、主に「乗り鉄」を満足させてくれる内容だ。同誌はつづいて近鉄の新特急「ひのとり」やJR東の新型「サフィール踊り子」さらに小田急の一般車両動向など、この趣味のテッパン、新旧の車両披露のページが多い。さらに「歴史の街並みを歩く」という地誌もの、「木造駅舎の証言」や「橋梁エポック」と云った建造物関係の記事、「撮り鉄」のためのカメラ講座、他にバリアーフリーと云った社会的記事なども掲載されていて、昨今の鉄道趣味誌の内容が盛り沢山なのがわかる。

 

こうしてみると鉄道趣味と一口でいっても、乗り鉄・撮り鉄・車両鉄のほか、沿線の歴史や地理地誌への興味、駅・橋・トンネルなど構造物への関心、システムへのアプローチなど幅広いものが含まれることがわかる。理科系としては車両工学・機械工学や電気工学に始まり管理工学にデザインや土木建築工学、文化系でみると歴史・地理のほか鉄道事業体の経営学や鉄道経済学、交通政策、大衆心理学、美術系では写真・動画や絵、文学的にはエッセイや詩、さらに鉄道模型も「鉄道趣味」の一画をなしている。「鉄道趣味」は子供のものだけでなく、社会経験を積んだおとなの知的興味の対象としてきわめて間口が広く、かつ奥深いため多くの人を惹きつけるのだと思われる。となると私の「鉄オタ、アゲイン」も子供の頃とは違った視線や、より広い角度から鉄道にアプローチできる気がしてくる。

 

この点では「鉄道ジャーナル」3月号の「車窓はスマホよりおもしろい」と題された車窓の楽しみ方の記事のなかで、山田亨さんという鉄道研究家のコメントが私にはとても印象深かった。今ではほとんどなくなった夜行列車の夜景の愉しみかたとして、この記事で山田氏は「家々の明りですよ、明りの一つひとつに人々の暮らし、大げさに言えば人生があるんだなと思うと感傷的になりました」と述べている。そう、今ではほとんどなくなった夜行列車の車窓を思いだすにつけ、同じ感慨に浸った当時のわが身を振り返ってみたくなるものだ。子供の頃と違ってこんなコメントに共感できるのも、シニアーの鉄道趣味の喜びの一つなのだろう。

以前のブログ「旅情(2009年6月9日)」

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