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2019年9月17日 (火)

失われた20年は本当か

大学は経済学部を出たが、実は経済の事などほとんどわかっていない。というか、本当に経済学はまともな学問なのか、それとも占いの類に属するものなのかなのか、実はすこぶる疑問を持っている。まず我々が学生だった頃、さんざん脚光を浴びたマルクス経済学は、結局は頭でっかちの理念からつくりだされた空想の産物だった事はその後の歴史で示されたとおりだ。共産主義で説かれた平等の精神は、今も社会福祉の分野などである程度は実現しているものの、マルキストの究極の目的だった社会革命などは結局おこらなかった。

最近は日本の財政は危機的状況なのに、我が国の国債は安全資産として消化され金利も一向に上がっていないという事実が見られる。そのような危機的な国の通貨は、本来は売られて大幅な円安やハイパーインフレが起こるとするのが経済学の定説なのに、この国ではインフレにはならないし円の価値も安定している。学者がいかに学説を説うても「市場」が人知を超えて動く様を見ると、結局のところ経済学は星占いに近いものではないのかとも思えてくる。この先、消費税が上がる来月に向かい駆け込み需要がおきるのか、また識者が指摘するようにその後に大不況がやってくるのか、私にはどうもそうはならない気もする。

最近、巷間言われるのが「失われた20年」に続き、日本はこの先も少子化で経済が頭打ちだ、という危機説だ。すでに日本は一人当たりの国民所得が世界で20数位になって、もはや「先進国」とは呼べないなどとする観測記事もある。はたしてそうだろうか? 先日も東北地方を旅したが、そこではかつての「寂しい東北の寒村」風景などはほとんど見られなかった。田舎でも都市近郊と変わらない家屋が多数建てられ、道路はきれいに舗装されているし、あちこちに点在する漁港はコンクリートが打たれ立派な防波堤が整備されている。田舎の変貌を見るにつけ、わが国の「失われた20年」というのは本当だったかと疑問が湧く。

そもそも経済成長とは何かというと、一年間に市場で取引された財・製品やサービスの付加価値合計額(GDP)が増加する事を云うらしい。もっとも経済成長はフローの面から捉えた指標だから、社会的ストックの価値やボランティアなどの活動は統計にならないと云う。だとすると、町や住宅がきれいになりクルマや家電などが皆に行き渡った今、GDPの伸びはフラットに近くなるのは当然であろう。豊かさはフローだけでなくストックや社会の成熟度も考えなければいけないのではないか。そう考えると、インフラが整い人々が文化的生活を享受できるようになったいま、従来の経済成長神話や一人当たりの国民所得などに我々は惑わされる必要はないのではないか。災害がおきても略奪がおきずボランティアが全国から駆け付ける、町にゴミがおちていない、横断歩道で止まるクルマが増えたなどという社会の実態を見るにつけ、日本は質的に「成長」を続けていると感じるのだ。

 

八戸駅の向こうにアリーナが建設され新興住宅街が広がる
20190917

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