関電トップの不祥事
関西電力の会長・社長らトップ20人が建設会社から地元自治体の助役を経由して3億円以上の金品を受け取っていた事が発覚した。国税局の調査でわかったとの事で、もしそれがなければ受け取った事は永久に頬かむりするつもりだったのだろう。「返すつもりだった」などと醜い言い訳をしているようだが、公共事業を担う会社のトップとしてはあるまじき所作でこれは完全に「アウト!」だと言えよう。電力料金を支払っている関電の利用者に対して許されるものではないし、なによりこういう輩に限って日ごろ従業員に「コンプライアンス重視」などと偉そうに言っているに違いない。それを思うと「コンプライアンス嫌い」の私は余計腹がたつ。
などと偉そうに憤ってみたが、貰った桁が違うものの、かつてあるプロジェクトで「儀礼の範囲」を超える贈り物を受けとって困ったことを思い出した。かれこれ20年前になるが、西日本のさる地方で行われたプロジェクトの完工式の直前、業者からそっと渡されたご祝儀袋は、いつもよりやや厚目かと思ったがさして気にせず背広の内ポケットへ入れておいた。式典やパーティが終わってホテルに戻り、やれやれ寝るかと思うころ、夜半に部屋のドアをノックする音がする。開けるとそこには上司である我が部長が「袋の中を見たか?いくら何でも多すぎるだろう」と真剣な顔つきで立っている。あわてて自分の貰ったお祝いをあらためてみると、「儀礼の範囲」とされた数万円の百貨店の商品券やワイシャツの仕立券とは一桁が違う現金が入っていた。
「どうする?」と日頃まじめな部長が聞くので「貰ったものはしょうがない、贈ったほうも引っ込みがつかないだろうしそのままでいいんじゃないですか」としらっと返事をすると「今日のパーティであいさつしたうちの常務も多分貰っているんだろうな」と真夜中に思案の顔だ。結局彼は「常務のも含め今日の当社出席者4名分の祝儀を回収して業者に返して来い」とプロジェクトのリーダーだった私に言い残し自室に戻っていった。とは言われたものの翌日常務はと見るとまったく素知らぬ涼しい顔だし、貰った業者に「儀礼の範囲を超えている」と返金を申し出でても「それは絶対困る」と相手も頑として応じない。結局常務には言い出せず、小心ものの部長には命令に従った顔をし、式典出席者3人分計100万円以上のキャッシュを懐に「このプロジェクトの責任者は俺だ」と腹を括って帰京したのだった。
さて部長には返金しましたと偽って預かった金をそのまま着服するわけにもいかず、ひねりだしたのがプロジェクト関係者全員の週末ゴルフ慰安旅行だった。仕事に少しでもかかわった平社員や女子社員も集め一同で東北の秘湯に宿泊し、近くの名門ゴルフ場でプレーするのである。新幹線に旅館代とゴルフ代フリー、それに銀座のクラブのおねえさんも呼び、総勢10数人の飲み食い放題の大名旅行であった。ただ金は返されたと信じている部長の傍らで、密かに宿やら新幹線切符の手配、集合の手筈などを行うのにとても苦労したものだ。コンプラインスなどという言葉がはやる前の時代の事、そして民間企業の間で完全なB to B取引のご祝儀なので、まあこれが一番良い金の使い方だろうと信じての行動だった。関電のトップのニュースを聞くとかつての我が出来事を思い出したが、さすがに今回の件は桁が大きすぎるし、なにより公共事業のトップとしては何とも云い逃れできない不祥事である。
便宜供与の舞台、高浜原電のある若狭湾
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