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2019年8月18日 (日)

知ってはいけない現代史の正体

20190818 歴史はいったい何を原動力に動いているのだろうか、それとも単に偶然の積み重ねなのか。そんな疑問を常々抱くなか、本屋の店頭で外務省出身、元駐ウクライナ大使であった馬渕睦夫氏のSB新書新刊「知ってはいけない、現代史の正体」を見つけたので読んでみた。同じ高級官僚出身でも前川喜平とか古賀茂明のようなちょっとどうかと思われる評論家も多い中、これまでネットで見る馬渕氏のニュース解説がなかなか印象的だったのが購読のきっかけである。本書「現代史の正体」によると世界の動きに関わる「絶対に書けない世界史上のタブー」とは、ユダヤ系の人々による「ディープステート」の存在のことだと云う。国家を持たない流浪の民だったユダヤ人が、20世紀初頭からアメリカの金融の中枢を握り、米司法界やメディアを抑え、国民国家の枠を超え国際主義を推進したのがこの100年の世界の歴史であると馬渕氏は説く。彼らがまず実行したことは、国際連合や国際連盟など国民国家の上に置かれた機関の設立であり、国家や民族、宗教・伝統を超えた存在である共産主義の普及だったとされる。

世界的な共産主義革命で敗北した彼らが次に打ち出したのがリベラルの概念や社会主義思想の流布、さらに新自由主義と称される資本移動の自由化・民営化なのだそうだ。これらは一見つながりがないようだが、たしかに本書が指摘するように、いずれもが国民国家を超越する動きであり、伝統的な社会を破壊し、世界を統一基準の価値の下に支配しようとするものである。また国家同士は問題がおきてもなかなか戦争に踏み込めないのだが、ユダヤ人の系譜につながるグローバリスト(国際主義者)は、自らの普遍的価値の敷衍を国家の上に置くから、戦争に対する敷居が低いのだという。このことが戦乱が多発する原因だという本書の指摘は面白い。彼らグローバリストは「自由と民主主義」「民営化」「人権尊重」「男女平等」「少数派の権利擁護」などポリティカルコレクトネスと云う一見だれも反対できない概念をうちだし、これらを国民国家や伝統の上に置きつつ隠れ蓑にして富を収奪し、自らに都合の良い体制を作っているという指摘は肯ける点が多い。

さてこのブログでも日ごろ私は「トランプ大統領はなかなか良い!」と書いているとおりだが、この本を読んで彼が主張することがより理解できた気がした。彼のアメリカ・ファースト主義について、本書では「トランプは、歴代の大統領が『グローバリズム』を声高に叫ぶ”影のキングメーカー=国際金融資本”のコントロール下にあったことに対して正面から宣戦布告している」のであるとしている。すなわち国際主義者、リベラル、社会主義や新自由主義に席巻されたアメリカを、伝統的アメリカ人(WASP)的考えに取り戻そうとするのが日ごろの彼の言説なのだろう。あれだけメディアで叩かれてもトランプ人気は高いこと、かたやブレクジットの混乱などを見ていると、世界はいまグローバリズムとナショナルリズムの狭間でいかに進むべきか分岐点に差し掛かっているようである。日本でもこれまでの国際従属主義から離れ、伝統的な保守思想、日本的な考え方への回帰が図られるのではなかろうか。また自国ファーストに米国が入ったいま、同国に頼る安全保障を見直し、わが国独自で相応の抑止力を保持するよう憲法の改正も急がれる。ディープステート論ですべてが説明できるとも思わないが、国際主義者に席巻される世界の正体を描いたなかなか興味深い本であった。

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