にっぽん丸で航く小笠原JTBチャータークルーズ(碧彩季航)その4 にっぽん丸と飛鳥Ⅱを比較する
エントランスエリア
私が初めて乗船したクルーズ船が”ふじ丸”、そして次に乗ったのが”にっぽん丸”だ。なので私はこの船には少なからず愛着がある。だが最近もっぱら日本船で乗るのが”飛鳥Ⅱ”になったのは、船の大きさが違いパブリックスペースが多い上、もともとラグジュアリークラスの外国船として造られた”飛鳥Ⅱ”の方が、やはりゴージャスな雰囲気に浸れるからだ。まず乗船する時、船内に最初に踏み入れるエントランスエリアで、”飛鳥Ⅱ”はもちろんだが、ほとんどの外国船で豪華な吹き抜けと螺旋階段による広々した空間が広がっているのに嬉しくなる。ここは乗船した客を非日常の世界へいざなってくれる大事な入口といえよう。しかし”にっぽん丸”はこの空間が狭く、クルーズへのときめきを盛り立てるのはやや不十分。この船も構造的には二層吹き抜けにできたようなのに、なぜ今のような設計にしたのだろうか不思議に思う。
また幾度も書いているとおり”にっぽん丸”では3階キャビンの真上にプロムナードデッキを設けたため、そこでのジョギングは振動が階下に伝わるためであろうか禁止となっている。(大きさがさして違わない”ぱしび”は、こういう構造になっていない)”にっぱん丸”が設計上こうせざるを得ないのだったならば、プロムナードデッキに防振材や防音材などを貼って運動できることを検討してほしかった。その上プロムナードデッキに面するキャビンは、外から内部が見えてしまうような位置にガラス窓があり、キャビンの乗客にとっても、デッキを通る人にもあまり愉快でない構造だ。もし”飛鳥Ⅱ”のようにこの階の客室がデッキ面より1米でも高く作られ、窓が高いところにあれば、外からキャビンが見えるということもなかったはずだ。
今回、久々の乗船で「食のにっぽん丸」というキャッチフレーズ通りの味付けを楽しんだが、せっかくだからと夕食時に料理のお替りを頼むと、クルーからは「NO」との返事がかえってきた。ダイニングの入り口に立つベテランらしい日本人男性ウエイターにこの点を尋ねたところ「原則はお替りはダメです。ただしうどんなど、何杯でもお替りできるようなメニューの際は2杯・3杯目も可です」とのことであった。一方で”飛鳥Ⅱ”は料理のお替りは原則OKである。また洋食コースのメインで肉・魚など選択がある場合は、両方頼む事もこれまでいつも可能だった。有名イタリア料理店のシェフがゲスト乗船し「秒単位で茹でる」ような時に、もう一皿をスパゲティを注文すると厨房の許可をとってボーイは2皿運んでくれたものだ。せっかく食を売り物にしている”にっぽん丸”である。諸般の事情はあろうが、食事は飛鳥なみに「原則お替り自由」にしたらいかがであろうか。
「食のにっぽん丸」の味は期待に違わなかった
さて”にっぱん丸”乗船者が入会できるクラブ「ドルフィンズクラブ」は、2年間乗船しないと会報誌やカレンダーが送られてこなくなってしまう。今回はJTBチャータークルーズだったが、この乗船で会員資格が復活するのか、また今回のクルーズが乗船泊数に数えられるのかフロントデスクで聞いてみるとこれもNOであった。チャータークルーズの乗船者でも「アスカクラブ」に入会でき、特典に繋がる泊数をカウントしてくれる”飛鳥Ⅱ”とはこの点でも違った。またチャータークルーズゆえか船内のクルーズサロンも休業で、将来のクルーズの船上説明会や船上予約ができないのも疑問である。旅行社が集めたチャータークルーズの乗船客は将来の大事なリピーターになり、本船のファンになる潜在的な顧客層であろう。この乗客にこそおおいに働きかけてドルフィンズクラブの会員となってもらい、船上予約に特典をつけるなどサービスすべき対象ではないのか。本船のいささか商売気のないやり方を不思議に思った。2020年に小改装をして、事業を継続する”にっぽん丸”にはソフト面での充実を期待したい。
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