いだてん~東京オリムピック噺~・前半終了
日曜夜のNHK大河ドラマには近年まったく興味がなかったが、今年の「いだてん~東京オリムピック噺」の前半部(6月末までの陸上編)は毎回必ずチャンネルを合わせ楽しみに見た。滑舌の悪いたけしを落語家として配するミスキャストもあって番組は低視聴率に泣いているそうだが、主人公・金栗四三はじめかつて陸上競技界の草創期に活躍した大先輩たちの話がとても興味深い。むかし教科書や専門誌で読んだ雲の上の彼らの生きざまがドラマを通じて活き活きと展開されると、伝説の存在が急に身近に感じられるようだ。
この大河ドラマ、かなり面白おかしく造られたストーリー展開なのだが、実は随所に陸上経験者なら知っている背景や裏話が入っており、それを読みとくのもこの半年間の楽しみだった。我が国の長距離競走の先駆者だった金栗四三の活躍はもちろん、私も履いたハリマヤシューズと陸上界の関わり、東京高師(現・筑波大)が日本の体育やスポーツ普及になした貢献、日本女子体育大学の創始者・二階堂トクヨと高師の関係、箱根駅伝と読売グループなどなど、他にも「な~るほど、そうだったのか」と目からうろこの逸話も毎回見られたのだった。
話の中で、人力車夫の存在がかなり大きな要素になるのは、陸上競技の草創期に「プロ」のランナーであった人力車夫がトラック種目で活躍して問題になっていた事が背景にあるのだろう。実際に明治36年の第8回陸上競技大会(現在の日本選手権)のマラソンでは、1位から5位までを人力車夫が占めたが、結局アマチュア規定違反で失格になっている。また大正14年の第6回箱根駅伝は、日大が3区に登録選手の身代わりで人力車夫を起用し問題になり、日大は翌年の出場を取りやめたこともある。
ドラマの中ではハリマヤのマラソン足袋が大きく取り扱われており、事情を知らない人は実存した一介の足袋商店の異例の扱いにいぶかる声も出そうだ。しかし長距離走の黎明期に金栗四三の助言を得て、多くの選手に足袋を供給したハリマヤの貢献は知る人ぞ知るところである。「いだてん」は玄人好みのドラマだとも云われていたそうだが、まさに云いえて妙の評価だと思う。とにもかくにも主人公の金栗四三がいなければ、お正月の箱根駅伝もなかったわけで、そう考えると彼の存在は私の人生にも影響を与えてくれた事になる。さてドラマの後半、水泳の田畑政治の活躍はいかばかりだろうか、これも楽しみである。
大塚にある金栗足袋発祥の地の銘板
« 町の中華料理屋3 | トップページ | KT50 慶應義塾體育会同期会 »
「ジョギング・マラソン」カテゴリの記事
- 皇居・北の丸公園(2020.06.30)
- ジョギングを継続するには(2020.05.15)
- ジョギングにマスクがいるのか?(2020.05.03)
- MGC マラソン グランドチャンピオンシップ 沿道応援(2019.09.16)
- いだてん~東京オリムピック噺~・前半終了(2019.06.27)
コメント