« 安倍首相の功績 | トップページ | 老後2000万円不足問題 »

2019年6月10日 (月)

「歴史戦と思想戦」-歴史問題の読み解き方ー集英社文庫・山崎雅弘著

20190610
私は「団塊」のわずか後の世代なのだが、小さい頃からかなり「右」だったことは何度か書いた通りだ。今でも保守本流の安倍首相の立ち位置を支持しているが、一方でいわゆる「リベラル」の立場の人々からの反論にも興味はある。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」である。ということで内田樹などという「リベラル」派が推薦しており、なかなか売れ筋らしい集英社新書「歴史戦と思想戦」(山崎雅弘著)を読んでみた。保守派の論壇が賑やかなことへの反論の書のようだ。

著者はまず産経新聞の論調や江藤淳、曽野綾子から中西輝政、さらにケント・ギルバートらいわゆる最近の「保守の論客」の主張を引用し、「これらの説明を読んで、あれ、おかしいな、と気づかれました?」と反論を展開する。一読するといちおう理路整然と最近の保守派の論点がいかに詭弁に満ち、彼らが世間を誤った認識に導いているかとひっかかりそうになるのだが、やはり「こちら側」から見ると突っ込みどころ満載だ。

保守派は平和で経済が発展した自由な戦後の日本を愛すのではなく、「戦前の大日本帝国」への回帰願望が原点だと著者は云う。しかしここでちょっと考えてみれば、本当は戦争から75年も経っているのに、平和にふるまう日本を認めず過去を蒸し返す中・韓が先ではないか。事あるごとにいまだに過去の行為に謝罪や賠償を求め「もっと反省を、もっとカネを」とゴロツキのような態度をとるから、日本国内が彼らの言うところの「右傾化」し「戦前の見直し」を模索するという事実に著者は目をつぶる。本書は前提と結論が逆なのである。

南京事件でも「虐殺の光景をみたことがない」という証言から、「そんな事件はなかった」とするのは歴史修正主義者だと著者は「右」を攻撃する。しかし「一部を見てそんな事件はなかった」とするのがおかしいと著者が主張するならば、同じく「一部を見て30万人の虐殺があった」と荒唐無稽に誇張する左側も同じことである。そこへも本書は触れない。概してこの本で「右」を叩くそのロジックは、立場を変えれば「リベラル」や「左」が受けても良い批判ともなる。かつて民主党など野党が自民党を攻撃した際に、後でかなりの部分でブーメランとなって自分達の党が窮地に陥った事があったが、そんな場面を彷彿とさせるロジックの書である。「WILL」や「HANADA」でこの本がどう叩かれるか見ものである。

« 安倍首相の功績 | トップページ | 老後2000万円不足問題 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 安倍首相の功績 | トップページ | 老後2000万円不足問題 »

2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ