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2019年6月14日 (金)

「千年松」・瀬戸内海国立公園は日本一

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宿から望む今治の町

今治市から来島海峡を挟んだ対岸、大島にある「千年松」という旅館に今年も行った。「千年松」はなんでも樹齢千年もあろうという大松が、昭和30年ころまでこの海岸べりにあったことからその名がついたという。残念ながらその老松はすでに立ち枯れてしまったが、ここでは来島海峡を行き来する大小さまざまな船舶やうず潮の流れ、さらに対岸の今治市街の灯火を眺めながら地場の魚料理を食べ露天風呂に浸ることができる。ここ「千年松」で毎年初夏、今治のある船主さん主催によって、東京の船会社数社の若手有志や、造船所、海運ブローカーなどが集まり「千年松」の会という親睦会が行われている。私は若手ではないものの、なぜか長老として毎年この会に出席させてもらっている。

梅雨入り宣言が出されたにもかかわらず、「千年松の会」が開かれた先週末は瀬戸内地方は良い天気に恵まれた。広島空港や新幹線、松山空港などから三々五々、参加者はレンタカーを利用し「しまなみ海道」を経て集合、最近の海運・造船業界の「本当」の話やらゴシップ話で深夜まで大いに盛り上がった。翌日は大島の下田水港(しただみ)で、海鮮バーベキューを堪能してお開きになったが、その前にせっかくの梅雨の晴れ間の好天とあって、瀬戸内海を一望できる大島の「亀老山」展望台まで皆でドライブした。青空の下、「亀老山」より眺める瀬戸内海はまさに絶景で、いつまでもその景色を眺めていたくなるほどだった。

こうして年に数回、瀬戸内を訪れるのだが、私にとってはここは日本で一番景色の良い場所だと思っている。瀬戸内海は、昭和9年に霧島や雲仙と共に日本で初の国立公園として指定された場所である。国立公園としては「陸地だけ」だと6千ha余で、日本の国立公園としては中くらいの規模らしいが、東は淡路島から西は関門海峡や豊予海峡まで、はるかに続く多島美のスケールは素晴らしいの一言である。もっともこの間の海域を含めると瀬戸内海の総面積は約2万haとなるから、実質的な規模では日本一の国立公園であろう。その美しい海に加え、太古の昔から交通の要衝として栄えた歴史ある港町や城下町が散在、最近では日本の産業を支える諸工業地帯、それらを結ぶ連絡船や架橋などを見ることができる。日本に多くの国立公園や名所・旧跡はあれど、自然の美しさと人々の営みが調和している地域となると瀬戸内が日本一だと確信している。
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隈研吾が設計した亀老山展望台から眺める来島海峡の絶景

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