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2018年12月 3日 (月)

市ヶ谷のエル・チリンギート

20181203

日曜日ふっと気が付くと、昼から福岡国際マラソン、2時からラグビー早明戦のテレビ中継である。もう12月第一週の日曜日になったのかと、毎年のことながら一年の月日が経つのが早い事に驚く。振り返ってみると、今年の前半は飛鳥Ⅱで世界一周クルーズをして感動して帰ってきたのに、夏場から入院・手術と人生初めての経験をする事になり、まさに激動の一年であった。体はいたって快調で健康だと信じていたものの、毎年恒例、念のための人間ドックだと思って受診したところ、ひっかかる箇所があるから来いとの病院の呼び出しにびっくり。検査や再検査の結果すぐに全身麻酔で手術とはまさに晴天の霹靂、一カ月前にはワイキキビーチだったのにベッドの上とは人生いろいろな事がおこるものだ、というのが今年一年の感想である。


そんなこんなで、わずか半年ほど前の飛鳥Ⅱのワールドクルーズも何か薄皮のベール一枚向こうで起こった出来事、遠い世界の記憶のような気がしないでもない。しかし最近届いたクルーズの写真集などを開くと、航海中や寄港地の思い出が脳裏にくっきりと蘇り、夢のような生活が懐かしくなってくる。またいつの日か、世界一周クルーズに行ってやろうと思うと、元気が湧いてくるのである。などと日々を過ごすなか、日課で走るいくつかのジョギングコースの一つ、靖国通りの市ヶ谷駅前に”エル・チリンギート”というスペイン料理屋を見つけた。スペイン料理店が最近は数多くある中、この店のドア前にある黒板にはパエリアの表示も大きく、信号待ちの間にそれを眺めていると、飛鳥Ⅱで行ったパエリア発祥の地であるバレンシアがやたら思いだされる。


今年のワールドクルーズはヨーロッパでもイベリア半島を周るのが目玉で、スペインのバレンシア、マラガ、英領ジブラルタル、ポルトガルのリスボン、再びスペインのビルバオと連続して5つの港町を訪れる事ができた。このあたりは食べもののうまい南欧である。マラガでは子イワシや海老のフリット、ビルバオではこの地発祥のピンチョスを楽しみ、リスボンでは2011年のワールドクルーズ以来の名物イワシの塩焼きを堪能できたのだった。バレンシアでは闘牛場を見学し歩き疲れて船に帰る途中、賑わっているレストラン街の一角でパエリアを出すレストランに飛び込むことにした。出港・帰船時間が気になる私たちは「あまり時間がないけど何分でパエリアができるの?」とマネージャーに尋ねると「25分ぐらい」という。パエリアと云っても我々には魚介類のものに馴染みがあるが、ウサギ肉や鶏肉とさやいんげんの載ったパエリアがバレンシアのオリジナルとの事なので、それを注文するこことにした。時間にルーズなスペインらしくなく、ぴったり25分で出来上がったきた熱々のパエリアは、本場の味なのだろうが塩味がけっこう効いていたようだ。


という事で今度は日本のパエリアはどうなのか、先日の市ケ谷のレストランへ夕食に行ってみた。店ではあちら流にイワシの炭火焼きに海老のアヒージョ、それにイベリコ豚のグリル ペドロ・ヒメネスソースを頼んだがいずれも本場のお店に近い味で、スペインワインのグラスを片手にクルーズの日々を懐かしみながら料理を楽しんだ。シェフははにかみ屋なのだろうか、ちょっとシャイな口調だがスペインで修行したのか土地・風土や料理に詳しく店の雰囲気もなかなか良い。締めに注文したパエリアは当然バレンシア風である。出てきた量はスペインのレストランよりかなり少ないものの、日本人向けにあまり塩辛くなくだしが効いていてより繊細な味でうまかった。スペイン料理を食べているうちに、病気の彼方に忘れていた現地の食堂やバルの雰囲気が記憶の底から蘇ってきて、今年はなんだか忘れらない一年になりそうな気分がした。

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