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2018年5月11日 (金)

ジブラルタルで考える

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故郷アフリカ大陸を眺めるロック名物の猿(バーバリーマカク)

イベリア半島のスペイン突端に位置するジブラルタラルの面積はわずか6.5平方キロ、人口は3万人でイギリスの直轄地である。初入港する飛鳥Ⅱの小久江船長が船内放送で「函館から函館山だけ切り離したようなところ」と説明したが、18キロ先のアフリカ大陸を目の前に、狭い海峡をにらんで426米の石灰岩の岩壁(ロック)が聳え立つ交通要衝の地だ(函館山は334米)。ここも例によって8世紀にイスラムの地となったのを15世紀にキリスト教徒が奪還したのち、スペイン王位継承のゴタゴタに乗じてイギリスが占領したと云う西洋史のお約束のような地である。


スペインはこの土地の領有権を主張して1967年に国連植民地委員会に返還を要求し、国連総会ではスペイン領として決裁されたもののイギリスが応じないまま現在に至っているそうだ。現地のツアーに参加しこのロックに登ると、崖の中のあちこちに要塞のためのトンネルが掘られ、ジブラルタルがどの時代でも戦略上重要な位置を占めていた事がよくわかる。それにつけてもここで考えさせられるのは、英国といえども国連総会の場において自国に都合の悪い決議に直面しても、それに一切応じなかったという事実であろう。いま覇権主義をあらわにする中国が、国際司法裁判所でフィリピンと争う南シナ海スカボロー礁の帰属問題で敗訴しても、それを一顧だにしないと強弁しているのと同様である。


今回あらためて欧州の歴史のさわりに触れて気付かされるのは、自国の存立を脅かされた国々は、自分で自分を守る固い決意を力で行使してきたと云う事だ。いま、わが国のリベラルと云われる人たちは、軍事力の行使に関して何かというと「国連の枠組みで」とか「国際協調で」などと主張するが、ジブラルタルのロックを前にするとこの主張にほとんど実感が伴わない。ブレクジットや移民問題で揺れるEUを見るにつけ、自国の安全を守るには国連や同盟の前に、経済力はもとよりまず自分で自国を守るという冷徹な決意と、それに応じた軍事力の整備が必要ではなかろうか。欧州の町でもあらゆる面で中国のプレゼンスを感じるこのごろだ。覇権主義の中国、朝鮮半島問題にかたや何をするのか不明のトランプ政権を前に、当面は日米安保を基軸としながらも、一国の独立のためにはわが国に何が必要か考えさせられる欧州の旅である。

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