ローマ引き回しの刑
チビタベッキアは古くからローマの外港として知られ、ローマ市街の西80キロに位置する。いまはチビタベッキアは地中海クルーズ拠点港の一つで、飛鳥Ⅱが一泊停泊する間にも、多くの外国クルーズ船が発着していた。ここで我々は船から出る「ローマ1日観光とバチカン・システィーナ礼拝堂貸切見学」に参加することにした。寺社仏閣、教会や宗教画にあまり興味ない私だが、妻のバチカン美術館を貸切でゆっくり見る事ができるツアーに行きたいというたっての希望を汲んでの申し込みである。
朝8時に飛鳥Ⅱを出発して観光バスでローマに行く途中、サービスエリアでのトイレ休憩がこれからの長い一日を予感させる光景となった。なにしろチビタベッキアに早朝に着いた何隻ものクルーズ船から降りた何千人もの観光客が一斉にローマへ同じ高速道路で向かうのだからトイレは長蛇の列である。各車トイレ休憩の10分ほどではまったく埒が明かず、やむなくトイレ番が男子トイレに女性を誘導するという連休の東名高速の様な状態だ。洋の東西を問わず人間やることはそう変わらないものだと古都を前に妙な事に感心する。
お目当てバチカン美術館とシスティーナ礼拝堂の貸切までは、お約束のローマ市内見学である。ところがこの日は祝日とあってスペイン広場やコロッセオなどの名所はどこへ行っても大変な人出で、トレビの泉では噴水より人混みを見にきたようだ。サンピエトロ寺院は入場するのにセキュリティーチェックもあって1時間以上行列し、内部を見学できたのはスケジュールの都合でたった9分。最後にローマに来た15年ほど前に比べて、中国人やインド人の団体が増えたのも時代の流れだろう。
修復後のシスティーナ礼拝堂を貸切でゆっくり見学できた妻は感激していたが、ローマ観光は中心部に大型バスが乗り入れられないため、名所を見るにはとにかく歩くしかない。結局この日スマホの万歩計によると2万歩以上、13キロも混雑の中を観光したのだった。飛鳥Ⅱのツアーはふつう「健脚向き」でも大した事がないと思っていたが、この日のツアーは本当に「健脚」と忍耐が必要であった。チビタベッキアの飛鳥Ⅱに戻ったのは夜9時過ぎ、大浴場に入って夜食の「上海ヤキソバ」でも食べようかとも思ったが、その元気もなく早々にベッドにもぐりこんだのであった。
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