JTB 2019年サン・プリンセス 世界一周チャータークルーズ
横浜大桟橋に左舷付けする「サン・プリンセス」(2013年5月)
JTBが米プリンセス・クルーズ社の”サン・プリンセス”号(77,441総トン・95年竣工・2016年改装)を丸ごとチャーターし、2018年4月から7月まで世界一周クルーズを行うと発表した。横浜・名古屋・神戸からの98日間のクルーズは、台湾を皮切りにモルディブ、アラブ首長国連邦などを経て、スエズ・パナマの両運河を通行、地中海・カリブ海・アラスカのクルーズ三大エリアを巡る”定番中の定番”一周コースである。料金は窓なし内側キャビンの188万円(早期割引)~888万円(スイート)+諸税・チップ(約30万円程度)と、飛鳥Ⅱの2018年ワールドクルーズの330万円(Kステート・早期特別割引)~2,625万円(ロイヤル・スイート)に比べ各段に安く設定されている。
日本のクルーズ人口も徐々に増えている昨今である。飛鳥Ⅱの2018年ワールドクルーズは予約で満杯、キャンセル待ち超多数という状況をみて、JTBはパナマックスクラスのプレミアム客船をドーンと借り切る事にしたのだろう。リタイアした団塊の世代が元気なうちに、というもくろみもあるのかもしれない。ただ従来の日本一周、せいぜい10日間くらいのチャータークルーズと違い、飛鳥Ⅱの倍以上の定員2000名もの船を、3か月にわたって借り切るとはずいぶん思い切ったものだ。もっとも世界一周を行うのは邦船ではお婆さんになってきた飛鳥Ⅱのみ、それも2019年以降は予定も決まっておらず、また新しい日本のクルーズ客船ができるニュースもない。ここは評判の定まった外国のクルーズ船をチャーターし、日本船に準ずる快適さで世界一周を提供しようというJTBに大いに拍手を送りたい。
そうは云え、船内での毎日の食事はどういうものが出されるのだろうか。飛鳥Ⅱのワールドクルーズでは、洋食・中華・和食とも気候やスケジュール、海域などにあわせて正餐からカジュアルまで、高齢者に口当たりの良いものを中心に実に細かい配慮がなされていた。深夜になるリオのカーニバル見物の前には、精をつけるべく夕食はうなぎのかば焼が出てきたものだった。食事はクルーズの基本である。中高年世代の日本人に合った、それも長い間食べても飽きない料理の提供にJTBは船会社と打ち合わせをする必要があるだろう。図書館の本ひとつをとってみても、長い航海日の無聊をなぐさめる日本船のライブラリーの充実には到底かなわないだろう。ドクターや床屋も日本人を乗せるのだろうか。
心配なのがお風呂で、サンプリンセスではバスタブがつくのがミニスイート以上のようだ。3か月以上シャワーだけでは嫌だ、という声が出てくることだろう。またウォシュレットが全キャビンについているのも日本船ならではだが、このあたりワールドクルーズにあたり何らかの対策が練られるのか。左党にとっては港近くのスーパーなどで安い酒をドーンと仕入れ自分のキャビンで飲める邦船と違い、外国船のアルコール持ち込み原則禁止、かつ船内で飲むと高い酒代も心配である。我々なら持ち込んだ缶ビールを一日で1本、ワインを2人で1本費消するとして、飛鳥なら部屋で飲む限り酒代が一人一日1,000円もしないが、外国船なら割高のビールに始まって相当かかるところだろう。これらを総合的にみると…。などなどと考えつつ、JTBの宣伝を興味深く検討するのだ。
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