定年後
7月から知人の小さな会社を手伝い始めた。何十年もやってきた仕事ゆえ、また働かないかとの話があったときは気軽に引き受けたが、同じ仕事でも実務レベルとなると最近はすっかりIT化され、ところどころエクセルなどを駆使せねばならない。取引先の相手もEメール時代に入社した若い人たちなので、仕事の進め方も以前とだいぶ違う。定年退職オヤジの気楽な隠居仕事かと思って始めたのに、どうも勝手が違って戸惑っているところだ。お金を貰うというのは簡単ではない、という事実にあらためて気が付かされる日々である。
一旦は会社を退職して自由になったものの、個人会社とは云えまた雇われ人になって拘束される身に戻ると、なぜだか急に売り出し中の中公新書「定年後」という本が気になってきた。「定年」オヤジとして普通の退職後の自由な生活を営むか、若干の金銭の余裕を得る代わりに一定程度の束縛とストレスを我慢するか。若い頃と違って仕事をする生活もそうでない自由もどちらもありとなると、却って自分の置かれた状況を確認してみたい気持ちになってくる。
著者の楠木 新氏は昭和29年生まれだから私より年下だが、60歳で会社をやめる前から定年後の問題を考察していたという。「何が正解か」などと云う答えがないような定年後の生活にそれぞれがどう向き合ったのか、本書は多くの例を提示してくれる。老人の増加で最近この手の本が本屋の店頭にやたら多いが、著者が長い年月を掛けて様々な切り口から「定年」を考察してきた事は一読するとよくわかる。自分の裁量でやりくりできる時間が増える事を喜ぶか、一定のレールを歩く方が楽と考えるのか、いずれにせよ著者は「定年後は『いい顔』で過ごせるような目標に向かって生きろ」とまとめている。また始めた仕事を続けるか否か、本書は何かのヒントになるかもしれない。
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