新しいクルーズ船
欧米クルーズ船社の造船所への発注残が現在83隻にのぼっており、過去最多だとの「日本海事新聞」の記事(3月7日付け)に興味をひかれた。これによると今年就航するクルーズ船10隻を皮切りに、来年(2018年)造船所から船会社にデリバリーされるのが15隻、2019年が19隻、2020年11隻と多数続くそうだ。その後の引渡し予定は1ケタ台になるものの、現存400~500隻のマーケットで一隻が20~30年使われる中、2026年までの10年間ですでに空前の新造船が注文済みと云う事になる。
この種の予定表は大きな戦争や経済のクラッシュなど「余程の事」がないかぎり、今から3年経った時、例えば2020年時点でそれ以降の期近ポジションを見た場合、だいたい従来のペース(2桁台)になっている事が多いから、クルーズ客船の発注ブームは当分続くとみてよいのだろう。たしかに世界中で安全設備や環境対策など諸規制が厳しくなり、船の陳腐化速度が早まっているし、中国市場の拡大などアジアでの需要増が期待できるから次々と大型新造船が発注される事には得心がいく。
発注元をみるとコスタやプリンセス、ホーランドアメリカブランドなどを傘下におくカーニバルグループの21隻を筆頭に、ノルウエイジャンクルーズライングループが14隻、セレブリティブランドも持つロイヤルカリビアングループが13隻と続き、海外大手クルーズ会社の市場寡占化が一層進むようだ。これを受注する造船所はフィンカンチェリが34隻のあと、マイヤー、STXなど欧州の主要なヤードが続くほか、中国でも2隻建造されるが、残念ながら「大型客船建造から撤退」と発表した三菱重工ほか日本の造船所への発注は見られない。
こんな記事を読むにつけても、世界各地でクルーズ人口が拡大し新しい船が続々できる一方で、四海が海で囲まれる我が国では、自前の新造船を造る事も運航する事も発表されないという現状がなんとも寂しい。我が国の人口が高齢化し潜在的にはクルーズ需要が増えるようでも、寄港地である周囲が支那や朝鮮という敵対的な国で、そのうえ目の前に横たわる北太平洋が名だたる荒海という環境が日本でクルーズ事業が根づかない主な原因だろうか。
こんな中、我がクルーズ船会社は3隻の客船をいつまでも使い回すのではなく新造船の船籍港を海外に置くなり、はたまた海外資本と組んで欧米人乗客との相乗りを企図するなりして、「日本の造船所と日本のクルーズ船」が発注残予定表に乗るような工夫をして欲しいところだ。そうでなければ日本の新造船は期待できず、価格でますます優位になる外国船のアジアクルーズが日本でのクルーズ事業の中心になってしまう事だろう。もっともそうなった場合、一族集まって騒がしい支那人グループなどとは、同じ船に乗り合わせたくないものである。
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