国防を考えるチャンスが来た
話題はトランプ政権である。ニュースを見たり聞いたりしていると、とんでもない大統領にも思えるし、少なくとも日本人には海のものとも山のものともわからない人という感じがする。しかし肝心のアメリカの幾つかの世論調査によると、彼を支持する人が支持しない人を上回っており、母国ではまずは相応に期待されているのかもしれない。もっともそうでなければ、トランプ氏が大統領に選出されたりする事はないのだろうが・・・。まあ彼がとんでもない大統領だとわかれば、日本は戦後永らく続いた米国追随から自主独立するために、憲法改正や核兵器保有を真剣に検討するよい機会が巡ってきたと捉えるべきなのだろう。
かつて”ピーナッツキング”、ジミー・カーターや、”B級俳優”と云われたロナルド・レーガンが大統領に選ばれた時はどうだったのだろう。そう云えば1985年に製作された映画”バック・トゥ・ザ・フュチャー”で、主人公のマーティがタイムマシーンに乗って1955年に戻り、マシーンの発明者であるドクに出会うシーンがあった。マーティがドクに「1985年のアメリカ合衆国大統領はロナルド・レーガンだ」と言うと、55年時代のドクは「俳優の? じゃあ副大統領は(喜劇俳優の)ジェリー・ルイスかい?」などと大笑いする場面があったものだ。1980年にレーガンが合衆国の大統領になった時も、独特な発想は今と同じ様なものだったに違いない。その後のレーガン氏の功績をみるにつけ、とかくメディアが流すトランプ大統領のネガティブ情報も、そのまま信じてはいけないと云うのが今回の教訓だろう。
それにしてもトランプ新政権のマティス新国防長官が、最初の訪問地を極東にした事は印象的である。彼は尖閣は日本の施政権下にあり、日米安保条約の適用対象と述べたと云う。この発言で、わが国は、尖閣と云う「領土」を守る事について米軍のお墨付きを再度得たとされている。しかし考えてみれば、大統領が誰であれ米軍が関与する前に、日本人は自らの領土なら自らがまずそれを守る覚悟を示さねばならないのではないか。私達が2012年に当時の石原東京都知事が14億円を募った尖閣買取資金に相応の寄付したのも、たとえ僅かでも身を削ってこそ、自らの領土は自ら護ると云う意志を示さねばならないと思ったからである。
軍事評論家の兵頭二十八氏が「日本の武器で滅びる中華人民共和国」(講談社+α文庫)で主張するように、まず日本自身が尖閣に施政権を及ぼしている事を示すため、島にはなんらかの我が兵力を常駐させてこそ(兵頭氏は魚釣り島に74式戦車を砲台として埋め、自衛隊員を交代で派遣せよとする)、いざと云う時にトランプ大統領率いるアメリカ軍が出動できると云うものである。これを平和の為の抑止力、「トリップ・ワイヤー」として兵頭氏が紹介する通り、いくら日本国内で米軍に基地を提供しようと、日本人が後方で安穏としているなかで、尖閣の為にアメリカ人がまず血を流すと考えるのは甘すぎるだろう。未来永劫に中華序列圏に入るわけにはいかないわが国にとっては、トランプ政権が誕生したのを機にもう少しまともな国防論議が始まる事を期待したいものである 。
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