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2016年12月19日 (月)

九段下・寿司政

20161219
寿司政のちらし

接待族を卒業してからもう何年になるだろうか。むろん銀座のバーへ行ってタクシーでご帰還などという事も今はなく、寿司屋なら価格明示の大手チェーン店にたまに行くぐらいである。それでも時々値段表などが店内になく、勘定は月末に請求書を送ってくるような高級なお寿司屋さんが無性に懐かしくなるものだ。などと思っていたら、元いた業界に近ごろ復帰しフルタイムで働き始めた妻が、私の誕生日に「なんでもおごってあげるよ」と豪気な事を言う。思わず「九段下の”寿司政”のちらしなどをたまには食いたいねえ」と口ばしると「じゃあ、お好みでサシミや寿司をつまんで、最後はチラシで〆る?」とこのあたり自腹になると急にセコくなる男性と違って、女性の方が太っ腹である。


という事で、先ごろ靖国通りの九段下交差点からちょっと入った「寿司政」を予約して妻と二人で行ってきた。六時きっかりにお店に入ると、すでに接待族らしい数名のサラリーマンがカウンターを囲み、例によって連れだった得意先のゴルフをヨイショするお約束の会話が聞こえてくる。立派な和服を着た中年女性のサービスに気おくれしまいと、「ここは三回目だったかなあ、昔ばらちらしをいただいたのがひどく記憶に残って、十年ぶりくらいに来ましたよ」といかにも場慣れしているふうに自分からベラベラ喋りだすあたりが私の気の弱いところである。店内はそんなに広くはないがカウンターの中の職人の他、厨房でも下ごしらえが忙しく、いかにも江戸前と云う雰囲気が漂っている。


絶妙に味付けされた牡蠣の先附けに始まり、サシミのうまいところをちょこちょこっとつまむと、おまかせのにぎりがくる。それを一口ほおばると「円やかな赤酢シャリ」と、どれも一手間施されているネタが絶妙にマッチングして、これぞ文久元年(1861年)から続く老舗の味だと頬がおちそうだ。日本酒をチビチビ楽しみつつ、あっという間ににぎりも食べてしまったが、せっかく来た久しぶりの高級すしやである。ここですぐに帰ってしまうのは何とももったいないと、予定どおり名物のちらしも注文することにしたが、こうしてみると私たちは年齢の割りに食い意地が張っているようだ。妻が払った勘定はほぼ予想通りで、美味しく食べ飲み、誕生日が来ても一歳若返ったような気分がした。さて間もなく来る妻の誕生日は彼女の好きな「黒毛和牛」かと、今度は自分の財布を心配するこのごろである。

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