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2016年11月10日 (木)

言ってはいけない

20161109_5

「トランプ候補にちょっと期待する」と前のブログで言ってはみたが、そうはなるまいと思っていたところで、本当に彼が勝利してしまった。事前の予想とまったく違った原因は、隠れトランプ支持者がそれだけ多かった訳で、多くの有権者が本音の部分では不満に思っていたものの人前では「言ってはいけない」事を彼が代弁していたのだろう。また「トランプ支持者は低所得の白人、レイシストで移民を排斥したい人達」というレッテル貼りが、そうでない普通の支持者に、事前にものを「言えない」状態にしていたに違いない。という事でアメリカでは「建て前」と「本音」のせめぎあいの中で、本音に近い部分が今回の大統領選挙結果でオモテに出たようであった。


「言ってはいけない」といえば、 橘 玲(あきら)という作家が書いた新潮新書の新刊「言ってはいけない」が面白かった。本の帯には「この本の内容を気安く口外しないで下さい」とあるので詳細は控えるが、「見た目で人生は変る」など、多くの人がそれとなく感じてはいるものの、口に出す事ははばかれる幾多の事実が披露されている。本書は進化論をベースに遺伝学、統計学や心理学、脳科学など様々な研究の成果を判り易くまとめたものだが、筆者はまえがきで「世界は本来、残酷で理不尽なもの」「みんな見たいものだけを見て、気分のいいことだけを聞きたい」としており、新書の中味は世の中の多くの建て前を覆すものになっている。


この本では人の行動や心は、考えられているより遥かに遺伝の働く力が大きいと云う事が示されたり、家庭教育について常識とは違った研究結果が紹介されたりするのだが、これらを読んでいると「努力」や「克己」、さらに「平等」や「融和」など我々が日頃心掛けたり、あるいは永い時間をかけて獲得したものは一体何だったのか、とちょっと不安な気持ちにさえなってくる。もっともあとがきには、世界的に犯罪や騒乱が減っているのは理性がなんとか役に立っているからで、私たちの認知・知性が進化のちからによってどのように偏向しているのか真実を知っておく必要があるとある。トランプ氏勝利を見るにつけ、不愉快ではあっても私たち人間の隠された本当の部分も認識しておく事が大事だと「言ってはいけない」に納得したのだった。

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