ブエノスアイレスの丸の内線
旧丸の内線770、側面にはステップが加えられている
南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで活躍していた営団地下鉄丸の内線500形車両が、20年ぶりに里帰りし横浜港で陸揚げされたと先ごろ報じられていた。これら丸の内線車両は地球の反対側、第2の職場アルゼンチンでも引退時期を迎え、徐々に新しい車両に置き換わるなかで、うち4両が鉄道技術の発展に寄与したという事で日本に帰って保存されるそうだ。我々も今年1月に飛鳥Ⅱのワールドクルーズでブエノスアイレスに寄港した際、旅の思い出として丸の内線車両が活躍するメトロB線に乗りに行ったからこのニュースを興味深くみていた。
考えてみれば今回里帰りした丸の内線の500形に初めて乗車したのは昭和33~4年頃であったろうか。開通まもない池袋から大手町あたりまで乗車した記憶があって、それまで乗り慣れた銀座線に較べて丸の内線は地上を走る区間が長いし、大騒音を撒き散らした銀座線車両のつり掛け駆動に対し、500形のWNドライブがきわめて静かな事が印象深かった。飛鳥Ⅱ船上の案内では、ブエノスアイレスの地下鉄は治安が良くないから単独行動で行くのはお薦めできないという感じであったものの、赤のボディに白い帯、帯の間には銀色のサインカーブが装飾された名車がまだ走っているというから矢もたてもたまらず駆けつけた。
時間の制約があり今回乗車したのは街の中心部フロリダ(Florida)駅から、B線の終点のアレム(L.N. Alem)駅までの僅か一駅間だったが、久しぶりに乗車したのは500形6両編成の先頭車770号。予想通り車体には落書きが多く、かつて輝いていた自慢の赤色もすっかりくすんで、お世辞にも車体はきれいとはいえないものの、その区間はオフィス街や商店街とあって、乗客の雰囲気も東京とそんなに変らない。ここは鉄道の規格が少し違うので、車両下部にステップが張り出していたのには違和感が残るも、かつて第三軌条のデッドセクションを通過する際、各ドア脇にともっていた小さな電灯が残っているのがひどく懐かしい。中南米では港湾に限らず各種輸送機器が中国製で席捲される中、こうして久しぶりに日本の名車両に乗るとやはり心和むのであった。
車体塗色はひどく毀損されているが、シートや車内壁に残るデッドセクション用の電灯(右上)、冷房がない車内のファンデリアなどが懐かしい
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