世界のどこでもクルーズが伸びている/日本船よどこへ行く
世界中どこへ行って客船がいた、と云うのが今回の飛鳥Ⅱ南米・南極ワールドクルーズに乗船した実感である。これまでもカリブ海はもとよりアラスカやメキシカン・リビエラ、地中海などのメジャーなクルーズ海域には各社の多くの客船が配船されていたが、ここ数年で顕著になったのは 『 世界のどの海域にもクルーズ船がいる 』 という現象である。因みに今回のワールドクルーズで出会ったのは、タヒチでお馴染み ”ポール・ゴーギャン”、チリのバルパライソで ”ノルウエイジャン・サン”、南極では ”シルバー・エクスプローラー”を始め多くの小型探検クルーズ船たちで、その様子は当ブログ(南極クルーズ 2016年1月31日)に記した通りである。
ラプラタ川でもブエノス・アイレスでも多くのクルーズ船に出会ったが、何といってもその極めつけはリオ・デ・ジャネイロの客船ラッシュであった。飛鳥Ⅱが入港した2月7日は一年中で一番賑やかなカーニバル期間中とあって、港にはこの日だけでも実に7隻もの大型客船がラインアップされていたのである。オリンピックを控えて工事中の客船ターミナルに、縦列にずらっと並んだ客船たちの姿は飛鳥Ⅱ船上から見ても壮観で、船好きにはたまらない光景であった。こうして100日間のクルーズで出会ったクルーズ客船を数えてみると、その数は33隻にものぼり、まさに 『 どこにでもクルーズ客船がいる 』 状態なのであった。
今回、飛鳥Ⅱで寄港したニューカレドニアの首都ヌーメアは、2010年にP&O AUSTRALIAの客船”パシフィック・ドーン”で来た場所だが、ここでも大手クルーズ船会社 RCI 社の"エクスプローラー・オブ・サ・シーズ”が飛鳥Ⅱと同時に寄港していた。近年の統計によると買い物ツアーの中国人の他に、オーストラリア人のクルーズ客が増加しており、私たちが乗ったそのP&Oも当時のフリートより大型船が投入され、今後はより大きい新造船が就航するそうだ。以前2011年の飛鳥Ⅱワールドクルーズでアカプルコに寄港した時には中古船を使ったメキシコ人向けのクルーズ船(世界のクルーズ業界は? 2011年6月28日)と隣り合ったし、欧州各国でも新造・中古買船などで既存のフリートの増強を行う会社と共に、新しく出来たクルーズ船会社の参入が続々である。正に世界のどこの国の人達も、どの海域でも客船に乗って旅する時代がやって来たようだ。
さてこの様に世界のクルーズ業界は、提供するキャパシティもその需要も着実に増加しているのに、日本船3隻は代替計画もなしに今のままでどうやって事業を展開するつもりなのだろうか。飛鳥Ⅱで様々なクルーに尋ねても、一様に判で押した様に 「いろいろ新しい飛鳥Ⅲは検討はしているのですけれどねぇ…」 と歯切れの悪い答えが返ってくる。確かに日本のクルーズ人口は従来の20万人から少し増加していても、その絶対数の少なさに加え、一番近い海外が中国・韓国と反日の国である事、日本近海が荒れる海であったり夏には台風が来るなど業容を拡大しづらい要因も多い。
装備品や仕様の違いで外国の中古船を買うという選択肢が現実的でない中、新造客船を作る欧州のドックは向こう数年間は契約済み船の工事ラッシュで手一杯である。一方で世界中で安全や衛生、環境保護の規則が厳しくなって古い船が営業し難くなるのに、年老いた日本船は3隻ともこのまま手をこまねいて眺めているだけで良いのであろうか。それとも償却の特例とか労務の問題とか、船を代えない方が人知れぬうまみがあるのだろうかと疑問は深まるのである。外資や観光資本とのジョイント、世界のメガクルーズキャリアとの提携、便宜置籍の活用など策はあるに違いない。「ほほー、なるほど!」と思わせる発展策を邦船社は見せて欲しいものとクルーズファンは思うのである。
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