飛鳥Ⅱ 南極・南米ワールドクルーズ ピアノ編
50年ぶりに再開したピアノの練習だが、昨年6月から一曲入魂で始めたのは私の好きなモーツアルトのピアノソナタ(K331番)である(2015年6月29日モーツアルト ピアノソナタ11番)。そうは言ってもなにせ50年ぶりにピアノに触る上にまったくの独学だから、そう簡単にうまく弾ける様にはならない。四苦八苦しながら我が家で毎日練習はしていたものの、飛鳥Ⅱに乗船するまでには長さ16分ほどの第一楽章のうち6割ほどしか弾けるようにならなかった。さて今回のワールドクルーズではピアノ教室が開催されるとあって、カラオケ会場のクラブスターズに5台の電子ピアノが置かれ、昼間は乗客が自由に練習できると云う。その上ピアノ教室では若くて可愛い女性の先生の個人授業(ただし有料)も開催されるとあって、このクルーズ中に何とか先生に教わり、第一楽章だけはマスターしたいとピアノソナタの楽譜を持ち込んだのであった。
ところが当初、航海日には毎日使えるはずだったクラブスターズも、途中から船内有志による他の同好会が盛んになり、その活動のために部屋を割かなければならなくなった。ピアノの練習も偶数航海日の昼だけと制限されてしまったが、たまたま偶数の日は停泊日が多く、ピアノに触れるのは週1~2回がやっとの状態である。乗船直後は「練習して少しうまくなって、それから若い女の先生に個人指導でみてもらうか」などとちょっと格好をつけていた私も、このペースでは忘れる方が多くてとても上手に弾ける様にならない。そうこうしているうちに最終寄港地のハワイも過ぎクルーズはあっという間に終盤を迎え「うまくならなかったからこのまま個人指導を受けずに下船するか」と例によって躊躇するのであった。しかし妻があきれた様に「やっぱりレッスン受けなかったわね」と傍らでニヤニヤしているのが何ともしゃくに障り、「それなら下船までに個人指導を受けてやる」と勇んでレッスンの申し込みに駆け込んだのであった。
「クルーズの最初、一番に照会があったのに、いらしたのは最後でしたね」と笑っている先生はやはりプロである。船内のマリナーズクラブのグランドピアノを使って「時々片手づつでもっと強く弾いて」「間違えないゆっくりした速さでフォルテで弾いて」「テンポに注意して」とナルホド!と思う指導である。若い女性の前での演奏に緊張したが、それでもレッスンを三回ほど受けてみると、自己流より習った方がはるかに上達が早く、これも長期クルーズならではのメリットだと得心がいったのであった。帰宅して久々にわが家の電子ピアノに向かうと、やはり金を出して指導を受けただけの事はあるとちょっとした手ごたえがあって、心なしか手も滑らかに動いているようだ。それにしてもダンスにコントラクトブリッジにピアノと長期クルーズでは短いクルーズとはまったく違う時間の遣い方、船内の過ごし方があって、これはこれで貴重な経験だったと船が恋しくなっているのである。
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