大阪の心意気
大阪に会議で出張に行った。「のぞみ」を新大阪駅で下車し在来線に乗り換えるエスカレーターは、右側がステップに乗る人、左側が急いで降りる人と関東とは逆で、毎度ここで「ああ、関西だ」といや応なく気づかされる。確か名古屋は東京と同じ側に立つから、関西方式になるのは関が原あたりからだろうか。大阪駅に行くのにやってきたJR西日本の電車は、東京のJR線長編成では珍しい運転台付車両にモーターのついた”クモハ”である。そういえば大阪地区でのJR西の新型電車は、1両に2つある台車のうち1つの台車のみにモーターをつけ、列車を全電動車化する車両を導入していると聞いたから、ここでは”クモハ”形式もごく普通なのだと改めて納得である。(JR東では列車の両端車両はモーターなし、中間のみモーター付電動車の編成が多い)
新装成った大阪駅で環状線の電車に乗り換え福島・野田と進むと3つ目の西九条あたりで、すでに線路近くに平屋の民家も見えて東京都心とは沿線風景がかなり違う事を感じる。このあたりで大阪の北の中心である梅田から3キロくらいだから、東京駅を基点にして云えばちょうど浜松町や秋葉原の先ぐらいの距離となる。最近は東京のこれらの町がすさまじい勢いで変化しているのに対して、大阪の町並みを見ていると都市の成り立ちや商圏の推移、人の移動などが東京とは随分と違う事を実感できる。また西九条で阪神電車が高架で環状線を跨いで行くさまは、JRターミナルに沿って平行して駅を作る関東私鉄に対し、国鉄何するものぞとJR線とは直角に交差する関西私鉄の心意気を見る気がしてくる。
今回は急な出張で宿泊するホテルを探したが、なかなか手頃なのがとれないので、タクシーの運転手に「大阪は景気が良いの?」と聞くと、「いやぜんぜんあきまへん」との答えである。「だってホテルはどこも満杯だよ」と云うと、「中国の人がちょっと減ったけど、その代わりに韓国と台湾の観光客が今はぎょうさん来ます。だから儲かってるのは、ホテルとチャーターの観光バス会社だけです。ホテルなんか昔は6千円くらいだった所が、今では1万円も2万円も取って・・・!私らもどうかと思っています。ああ云うのはそのうち世の中が変わったらバチがあたるんとちゃうやろか」などと会話がはずむ。そういえば今回、訪問先の会社に焼肉をご馳走になったら、東京の接待用の店ではまず出ない生のセンマイ(腸)などが出てきた。日本は画一化していると云われるが、新幹線で僅か2時間半ほどの場所でも、ちょっとした伝統や文化の違いを味わえるから出張と云えども旅は良いものである。
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小生は関西人ですが、現役時代は本社が浜松町にあったので、東西の文化の違いは良くわかります。
食に関して端的な違いで面白いのはウナギの開き方でしょうか・・・
関西は腹から開きますが、関東は切腹を嫌い背開き等、色々とありますね。これも遡れば関ヶ原で負けた西方の遺恨かもしれませんね!!!?
さて本題ですが、奥さんの飛鳥Ⅱ航海記こそっと拝読さしていただきました。客船に興味を抱き色んな単行本を読みましたが、飛鳥Ⅱに関しこれだけ克明に描かれた航海記、奥さんのブログに勝るものは有りません。小生も若かりし頃、貨物船のエンジニアで世界一周を体験してますので、懐かしい街並みを思い浮かべながら、楽しく読ませてもらいました。バルクさん同様の文章力もさることながら、船内での食事・イベント等々こまかな様子が手に取るようにわかります。奥様に心より感謝申し上げます。
夫唱婦随なかの良い素敵な夫婦関係で今後も順風満帆の航海を続けて下さい。
小生も世界89ヶ国廻っておりますが、
南極は行けないものと思っておりましたので、今回もバルクさん、奥さんのブログを楽しみにしてます。
ではお二人のご健康と飛鳥Ⅱの安全航海を大阪より祈願しております。
投稿: ノムノム | 2015年12月11日 (金) 14時46分
ノムノムさん
妻の乗船記ふくめこのブログにコメントありがとうございます。本船飛鳥Ⅱは現在硫黄島南方を南に向かって航行中です。
今日は以前飛鳥Ⅱに乗った際に顔見知りになったエンジニアに、「エンジンの調子はどうですか?」と尋ねたら「大丈夫ですよ!」と自信の答えが返ってきました。
客船の乗客は安心して船に乗っておりますが、その陰では船を安全に運航する為に実に多くの方々が働いている事を実感しながらの航海です。
投稿: バルクキャリアー | 2015年12月12日 (土) 17時46分